(主演:松嶋“893”奈々子)
ななこSOS。
実にオーソドックスに面白かった。監督の中田秀夫には“女優霊”で思いきり肩すかしをくらっていたので心配していたのだが、「リング」という素材にはうまくはまったようだ(バジェットの違いというものあるとは思うけれど)。
絵的にも、異質な不気味感のビデオやクライマックスの山村貞子登場など、「うひゃ〜っ」的恐怖快感多し。怖いというよりは“きたきた〜っ”つう感じですかね。ショッカーホラーやスプラッタが嫌いなので、これはいい路線なのだ。一番怖かったのは写真。本気で鳥肌が立った。ようするに心霊写真的恐怖ですね。
やっぱり、日本における怖い話とは“怨念話”や“幽霊話”とかなんだと思う。“怪物”とか“悪魔”とか古来の宗教観に根ざしていないネタだと、なんとなく本気に入り込むことができないのではないだろか(勿論それが面白さの基準というわけではない)。というわけで枝葉を取り払うと実にオーソドックスな日本の怪談話である「リング」は、“怖い”映画なのだ。
原作との差もかなりある。しかし映画は映画、本は本(個人的には凡庸なホラー小説の原作より映画の方が好きだ)。ただ、念写ビデオのくだりはもう少し明確に表現して欲しかったかも。