(監督:ヨージ山田)
いつもの二人の“ハートフル刑事アクションコメディ”。テーマは“家族愛”。トホホ。
「3」(TVで観た)は面白かったし、このシリーズは、別に嫌いじゃない。でもそれ以上に、派手なドンパチアクションでスカッとしたかったということもあって行く気になったのだった。冒頭、火炎放射器で暴れる暴漢をぶっ飛ばすと、そこにたまたまタンクローリーがとまっていて、たまたまそこはガススタンドで… といったノリノリの(バカ)エスカレーションシチュエーション。ドミノ倒し的に大事になっていくノリはさすが小気味よい。そうこれこれ。てな感じ。こりゃいけるかも。そう思ったんだよ、そのときは。
でも、ああそれなのに。
結果的には面白くなかった。今回はアクションよりも、二人の刑事のそれぞれの家族愛を中心とした、ハートウォーミングな映画にしたかったのかどうかしらんが、恋人の妊娠とか娘の結婚とか、家族に関するシチュエーションがやけに続く。それ自体はいいんだけれど、映画として見せる上であまりにも台詞に頼り過ぎて絵で見せてくれない。これがまたきっちりとした会話劇というか、シチュエーションコメディになっていればそれはそれでいいんだけれど、ジョン&パンチ並のお手軽なもので、どうにもTVスケールなんだよね(あ、ジョン&パンチが悪いつーんじゃないんですよ)。シリーズ化の弊害が如実に出てしまっているような感じがしたのだった。
リーサルウェポンといえば、もちろんアクションである。しかし肝心のアクション部分も、ドッカンドッカン弾けるものがない。もっと火薬の量を増やせってば。多分、敵役が蛇頭の暗殺者だから、功夫による肉体アクションをメインに持ってきたかったのだろうと思ったのだが、それはリーサルには似合わない。逆に妙に殺伐として、先の家族の物語とチグハグな印象を生んでしまっている。リーサルに期待されているアクションとは派手な銃撃、派手な爆発だと思うんだけど、それは俺だけの印象なのかな。
(多分ないと思うけれど)『パート5』は見ないでしょう。
唯一の見どころはリーリンチェイ改めジェットリー。はりついたような笑顔の悪人を実に楽しそうに演じている。功夫も当然決まっている。カッコイイ。よしよし。