(主演:田中“なっちゃん”麗奈)
とある田舎の女子高生が自分の手でボート部をつくり、そして… という話。でもありがちなスポーツ根性ものとはちょと違う。一応坊ちゃん文芸大賞が原作。
ドラマチックな部分を排除し、淡々と話は繰り広げられていく。ドキュメンタリーを観ているような印象。情緒に流されず、理に陥らず、クールな視点で切り取られた少女達の高校時代の物語。
ボート部ができて、勝ってそして、という話なのだが、スポ根色は極力排除されている。例えば、部員を集める話などは、スポ根ものの定番エピソードなのに、ばっさり省かれている。さまざまな壁とその突破を描くことがスポ根の使命/定石/目的だろう。しかしそのようなエピソードもないことはないが、それはあくまでも彼女達の日々の生活上にあったから描かれたのだろう。そう、だからやはりテーマは高校時代なのだ。
とにかく、どこを切り取っても絵になる、素晴らしい映像美。そうかまだこんなに素敵な場所が日本にもあるんだ。そんな思いでいっぱいになる。眼福である。これだけでも見る価値ありと、断言する。
閑話休題。
設定上では22年前のお話なのだが、映像的にはそんな描かれ方はしておらず、現在の物語であるとしてもいっこうに構わない。舞台の愛媛自体が、(もちろんいい意味で)昔と変わっていないのかもしれないけれど。昔を懐かしむ系の話ではなく、もっと普遍的なものを描いているので、これでよしだと思うし、そういったわりきった演出がクールでよろしい(ま、ルーズソックス、膝上30センチちょーミニスカなんかはでてこないことろが昔といえば昔かね)。
女優陣が拙いのは『まだまだっすよ』だから、大目に見よう。これからだよ。
いい映画っす。おそるべし、アルタミラピクチャーズ。