CHART-DATE : (1998/10)
作品
沈黙の狭間
… ビヨンド・サイレンス

(映画:ドイツ映画)


お話

 ろうの両親に育てられた少女が経験する、出会い、恋、悲しい別れ、苦悩、和解、そして希望の物語。


お話

 良質の物語。
 ろう者がメインの話ではあるが、へんにウェットに描いてお涙頂戴劇になっていないところが、実に清々しい。ろう者はハンディキャップではあるが、それを可哀相な存在、弱くて守るべき存在、というような描きかたはしない。そういう人達がいるのだ。という、対等なレベル、ある意味“個性(パーソナリティといってもいい)”というレベルで扱われている(本来、それが普通なのだ)。例えば、両親が異国人で、その国の言葉を話せないんですよというシチュエーションでもこの話は成り立つ(ただし、学習等によって回復するというようなことがなく、絶対の断絶であるところが違うといえば違いますが)。
 あえて誤解を恐れずにいってしまうと、要するに、あくまでも設定のひとつとして存在しているのだ。その中で、親子の絆を示すものとして、手話がコミュニケートの重要なツールとして登場してくる。
 つまり、コミュニケートの物語なんだ。手話という強固なコミュケートを持った親子が、それゆえにそれぞれの自立に際して苦悩して、理解し合うまでの話。人と人とのつながりの物語。家族の絆の物語。それをひとりの少女の成長をとおして描いている。
 地味な作品ではある。しかし、見終わった後、気持ちが深く深く心に染みわたる。


お話
  1. なんかNHK教育で日曜昼に放映しそうな話だったなぁ。
  2. それにしてもドイツ(あるいは欧州の)のノーマライーションって進んでるよ。それでもアメリカより遅れてるってんだから日本なんて推して知るべし。(仕事柄?)すごく勉強になった。

お話
★★★★

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