(主演:クリストファー“仕事選ばねーなぁ”ランバート)
ブレードランナー、ヨーロピアンコミック風味。
まあまあ、面白かったのだがあまり印象が残っていない。地味というわけでもないのだけれど。
基本に忠実なサイバーパンク系SFという印象だった。
自分のつくったゲームの自意識をもったAIを救済することで、自分も救済される(それがお互い「死」を意味していても)という話ではあるが、電脳モノって結局似たり寄ったりの自分探しの話になっちゃうんだよね。もともとインナースペースってそういう話だからしょーがないんだけど。
しかもココロの話になると宗教ネタがスパイスに使われるのも定番。今回は協力者がオリエンタル(この場合インド、まさにスパイス(笑))思想の導師。別にそれが悪いというんじゃないのよ。ただありがちだなって思っただけ。『ニューエイジ系精神世界=東洋思想』なんだろうかねぇ、西洋人からすると。
映像・演出は、力技でこれみよがしに押しつけられるハリウッド系とは違い、適度に抑制の利いたつくりで、要所要所に効果的に使われるSFXも的を得ている。いい。
特にいいなと思ったのは、ゲーム内の映像がモノクロなんだけれども、ワンポイント的に色がのっていて、しかもその色調が絶え間なく変化しているという演出。斬新。
ここ数年、アメリカンじゃないSF系がけっこう紹介されていて面白い。ハリウッドメイドとどこが違うかというと、色使いかな。例えば、フィフスエレメントやティコムーンなんかがそうなんだけれど、カラフルというかビビッドな原色系を躊躇いなく使っていて、現実的じゃなんだけれど、でもそれがちっとも浮いてないんだよね。SFには実にマッチしているというか。おそらくコミックスの色使いに呼応しているのだろう。
というわけで特に悪いところがない映画なのだった。なのになんで印象がうすいんだ? 引っかかるものがないんだろうな。悪ズレしちゃったのかなぁ。