(主演:一応栗山千明としておくか)
彼女がやってくる。ヤア、ヤア、ヤア!
制作時間も予算もなかったのだろうか。すごく雑な作品。
手持ちカメラは効果という限界を超えてふらふらし、たんにうざったいだけ。録音も同録とアフレコが混在しているようだが、バックのノイズなどの調整ができておらずモロバレ。観ていて最後まで映画に没頭できなかった。
演出面でも、例えばへんに叙情的で音楽に頼った部分が多いとか、首を傾げる部分が多い。なにより恐怖感がまったく感じられないのはホラー映画としては致命的でしょう。人間関係も整理されていない、というか内面の葛藤とか情念とか、日本的怪奇映画の根幹をなす部分が整理されていないので、なぜ逆打ちをしなければならないのか、父親はそれをやめさせようとしているのか、なぜ肉体を持っての復活が禁忌なのかがまったく不明。(原作ではそれなりにかかれていたけれど)幼なじみの二人が体交わすのだって、二人のそこまでの人生の背景があってはじめて成り立つべきエピソードなのに、あれではただのサービスカット扱い。
そう。怖くない最大の理由はやってはいけないこととりかえしのつかないことがしっかりと描かれていないため、別にそれでもいいんじゃないのと思ってしまうところなのだ。おどかし映像の多用は嫌いだけれど、それすらもないのでは。
とにかくまったく怖くない。
もともと原作が怖くないからしようがないのかもしれないけれど。他にもっと怖い話もあるのになんであえて一番地味な「死国」を選んだのかねぇ。