CHART-DATE : (1999/02)
作品
SharkSkinGuy&PinkHipGirl
… 鮫肌男と桃尻女

(主演:アサチュー&キューティ)


お話

 一応、男と女の逃避行だが、まあ、あってなきが如し。


お話

 飛び交う銃弾、風切るナイフ、勿体ぶってるようであっさり死んでいく殺し屋達。オフビートな感覚で、かつワイルドでクールなコミックムービー。荒削りでファンキーでパンキー。カッコよさ至上主義だね。イカス。
 主役のアサチューを筆頭に、黒尽くめの岸辺一徳、白尽くめの鶴見辰吾、その他もろもろ変な濃い登場人物達。あんな組員いねえっつーの。でもカッコいいからすべて許す。そんな感じね。でもって、我修院達也(若人あきら)や島田洋八といった癖のある、ありまくる怪優達入り交じり、実に楽しそう。悪ノリともいえるけれど。役者って善人役よりも悪役をやる方が面白いしノルってよくいうでしょう。そう、この映画、いいヒトが全然いない。だからみんなあんなに楽しそうなのか。そうか。

 映画とマンガという媒体の違いによる表現方法の違いなんだけれど、さえない親父達が演じるアクションということでパチもの感を表現する原作のテイストを活かしつつも、奇妙キテレツを行き着くところまで突き詰めて突き抜けた結果、逆にカッコいい野郎どもを満載に登場させることで表現しようとしている。映画としてみせる上で正しい選択だし、うまい。

 原作でも映画でも、大前提としては、香港映画ばりの、ストーリーは二の次、バリバリのガンファイトアクションを狙っていたのだろう。これは原作に登場していた『ジョン・ウー』という犬の名前が如実に示していると思う。まあ、だから話はおざなりでいーやというわけではないのだけれど、基本は銃撃戦やアクションをいかに面白く見せるかというのがテーマなんだと思う。でもってそれは見事に結実している。

 原作と映画の設定上、ストーリー上の違いについて、いくつか述べてみよう。
 まず、なんといっても我修院達也演じる殺し屋の山田君。単体でみると異常なキャラで面白くしようとしている。と思いがちだが、その実、島田洋八の存在になっていて、それはトシコが家を飛び出さざるを得ない理由の重要なバックグラウンドエピソードとして生きてくる。しかし、伯父を夫にしてしまうとはね! やるな。
 ラストも結局誰が生き残ったのかわからないオープンエンディングなつくりに対して、ある程度はっきりと示すことで、後のことなど考えない無謀な行為としての、アクションではなく、純愛のなせる技という味付けも俺好み。

 というわけで、とにかくストレートな原作を生かしつつ、よりいい感じに膨らませているところがグーなのでした。

 演出面ではもたつくところも多くて、おやおやというところもあるのだが、スタイリッシュで勢いのよさに免じて許すのだ。作品的にどうこうというものではない。というかもともとなにかを語ろうという作品ではないのだから(そうか?)勢いに身を任せてしまえばいいのだ。ゾクゾクしろ。


お話
  1. 鮫肌と桃尻が最後までやらない(少なくとも表現しない)ことで運命の二人が純愛さを表現していたのが、“スキ”(若人あきらの声で読んでください)。
  2. まあ、あれだけ変なヤローばっかりだと目立たないが、ビキニ一枚で登場するアサチュー扮する鮫肌も相当イッテル。原作ではピエール瀧みたいだったが、浅野忠信で正解だった。カッコイイ。対する小日向しえも、清楚なのに色っぽい。最初地味なのが段々きれいになっていくのね。最後にはサービスショットありで(いや元々そういう話なんだけど)。
  3. この映画の隠れた主役は“皮”。動く度にキュキュと鳴るレザーコートにビザールゴコロはときめきまくりのぬれまくり。あ〜ん、カッコイイ。
  4. でも、一番カッコよかったのは、鶴見辰吾の使うフック付きジッポ。火がついたまま指先でくるくる回し、チャキッと蓋を閉めるところなんざ、ク〜!

お話
★★★★

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