(監督:和田“グァッハッハッ”勉)
ザ・コレクター・インザ・四畳半。
なんなんだよ、ようするにピンク映画じゃんか。
女子高生を監禁飼育するといった扇情的なネタを社会派チックかつコミカルに描いているのかと、予告を観るかぎりでは想像していたのだけれど、で、確かにそういう部分はあるのだけれど、でも基本はピンク映画。
小島聖のキュートでエロティックな演技や竹中直人の押さえた中に狂気と純情を表現した演技が見事なせいで、まんまと騙されるのだけれど、結局はいかにしてオジサンと女子高生がやりまくったかという話でしかないんだよ。で、それを捕らえるカメラの視点がまたエロエロ。それは多分和田勉が“親父目線”だから。
オヤジ視線の証拠としてはセーラー服ですね。話の流れ上、裸の上に直接セーラー服を着るんだけれど、夏服な門だからうっすらと透ける肌がなんともこう… ってはっ!
いや、その、とにかくだ。そんなエロ親父フィルターのせいで、男の“親父エロエロ本能”の琴線に触れた。そんな感じ。
話としてはどうなんだろう。自分は男だから、やっぱりどうしても男の視点でみてしまうわけだけれど、こんなある意味都合のいい話があるんですかねぇ、という冷めた見方になってしまう。テーマ的にはいろいろと深いものがあるとは思うのだが、そこに思いが至る前に、小島聖のナイスに幻惑されてしまった。
だから女性の目からみたらどんなんだろうということが知りたいですね。特に場内ほぼ満席で、男女比7:3で女性のほうが多いという状況の中、特にそう思った次第。
映画的な面でのマイナス点は、全体のトーンを、異常な形での純愛とするのか、クールな状況表現ものなのか、コミカルタッチな作品なのか、しっかりとした統一感がなく、はっきりしないまま最後までいってしまうこと。
いつ終わるのか判らぬまま、延々二人のラブラブ生活を描いて、どこで着陸するのかわからないのがもどかしいというか、いらいらするというか。
作品として描きたいことがラストで表現されるのだ、というならば、この作品はやはりある一人の中年男の静かな狂気ということなんだろう。けれど、そこに至るまでの描きかたが(いろいろと揺らいではいるんだけれど)基本的には純愛系なのだ。だから個人的には二人が(肉体的にも精神的にも)結ばれたところで終わってもよかったんではないかと思うわけ。そのあと二人が不幸になろうとも丸く納まろうとも、それはまた別の話。その一瞬だけは二人にとって真に充実した瞬間なのだから。そんなエンディングで十分だった。
それをそこれやめないでだらだらとエロエロになっていくのが和田勉たる所以なのかも。
もうひとつの不安定な作品のトーンは、安下宿のおかしな面々の扱い方。いらないとはいわないが、それを全然生かしていないのが問題。
もう少しいろいろと整理すれば、ビジュアル的にもテーマ的にもすごい傑作になる可能性があったのに、残念。