(主演:ドゥティ)
巨大隕石ものはどれも一緒だよ。
予告では、感動のドラマ風だったので鼻白んでいたところが多く、見ようかどうしようか逡巡していたのだが、見てよかった。とりあえずは。
だって予想外に面白かったから。あまつさえ、涙ぐんでしまう俺。うわ〜、一体どうしちゃったんだろう。
感動した… んじゃないんだけれどな。歳とったせいか?
せっかく素直にウルウルしたのに、その訳を自己分析するのはあまり健全とはいえないんだけれど、もともと感動モノ映画だと思ってなかった(実際、感動モノではなかったのだが)せいで、不意討ちをくらったという部分は否めないか。
覚悟の特攻とか、愛する者のためにとか、露骨に泣きツボを意識したつくりにはなっている。でも俺的にはそのツボには反応しなかった。一番グッときたのはメンバーが宇宙へ行くことを承諾して、シャトルに乗り込むところまで。プロがプロの仕事をするために、たとえ命が懸かっていたとしても、そうすることが当然であるかのように行動するというシチュエーションがいいんだ。いやまったく、その覚悟を思うだにグッとくる。
だから逆に、クライマックスのブルースウィリスの行動なんかには全然こなかった(ワッペンのくだりはいいが)。スレてんのかなぁ、俺。
で、確かにク〜ッとくることはくるんだけれど、劇場を出た途端、気持ちはどんどん冷えていく。本当にジェットコースターイベントムービーなんだなぁ。
話自体は、ものすごい直球勝負。へんに枝葉など張らず一直線に進む。実はすごいB級なネタ&話なんだけれど、金をかければここまでできます、とそんな印象だった。
煎じ詰めると、荒くれ野郎どもはいかに戦い抜いたかということにつきるわけよ。「地球を背負って」とか「家族のために」とかそういうのは味付け程度。本論は、あくまでもプロフェッショナルとしての生きざまなんだと思う。
前半のシャトル発信までは、独立愚連隊の物語で、ドタバタハチャメチャありのノリのいいワイルドな展開(ある意味パトレイバーに近い)。コメディ調のお話なのだ。だからこそ、あんな奴らが宇宙に行くのだというシャトル発進へのシークエンスが泣けるのだ。
ところがよかったのはここまで。宇宙編は一転してバカ映画となる。話はリアリティを失い、真面目にやればやるほどギャグになる。ステーションでの補給シーンもそうだし、アルマジロが飛ぶシーンなんかどう考えても「これで手に汗握ってくれ。感動してくれ」といってるとは、到底思えない。
宇宙編の話の展開はヒロイックファンタジーであり、ハリー王とその騎士達が巨大な竜を倒すために旅をするという見方ができる。途中で仲間になるトリックスター(ロシア人宇宙飛行士)も出てくるし、裏切り者による危機(シャトルパイロット)もいる。ただ最後に王の帰還が成されなかったことがけが違うといえば違うくらい。話が直線的な印象なのはこのせいなのだった。
しかしSFXの進歩というものは恐ろしくて、もはやあれだけのものを見せられても全然スゲ〜と思えなくなっている。すごく自然というか、あれで当然と思えてしまうのだ。見せ方があっさりしているというせいもあるのだろう。別にチャチとかそんなことはないのだけれど、慣れっていうのは恐ろしい。
アルマゲドンを見るつもりにならなかったもうひとつの理由は、予告編でのスペクタクルがあまりにもウソくさかったから。
まず冒頭の隕石落下シーンだか、地表に到達するくらいのサイズの隕石が落ちたらあんな小さい穴があくくらいの被害じゃすまないはず。絵的には面白いかも知れないけれど、やっぱウソだよね。中盤のパリ壊滅くらいの被害は軽く出るでしょう。
シャトルはあんなに高機動できないって。あんな隕石群の中につっこんでいったらあっという間に激突のはず。絵ヅラ優先だとしても、リアリズム調で話を進めていく上、ウソくささが目立ちすぎ。
巨大な小惑星を破壊して、避けるのはいいとして、まわりの小さい連中はやっぱり地球に落ちてくるんじゃないの? 前半であんなにボコボコ落ちてきたくせに、なんでそれがパッタリなくなってしまうのだろう。不思議だ。
とまあ、つっこむところが多すぎる粗い映画なんだけれども、力技でねじふせられた。まあ面白かったと答えざるを得ないちゅーところですかねぇ。