(監督:トニースコット)
ストーカー社会ならず。
可もなく不可もなく、そこそこに楽しめるサスペンスアクションだった。わかりやすい謎、わかりやすいプロット、わかりやすいアクション。ようするにプログラムピクチャーというわけだが、それはそれで意味があると思うんですよ。気楽に楽しめる映画というのも必要なのだよ。
とはいうものの、というか、だからというべきなのかもしれないが、少々荒っぽいところがあるのは否めない。そもそもスパイ衛星でテロを押さえるという計画自体に無理があるんじゃないの。いくら100のオーダーの衛星による監視といっても限界がある訳だし、あれだけのスタッフでは、複数メンバーによる同時多発テロには対応しきれないだろうに。だいたい、今回だってわずか二人の男を追いきれず、結局負けてるようじゃ、そもそも実効性を伴わないシステムなんじゃないの?
ストーリーとしても、自らの野望のため(その理由が恐妻のせいという小市民的な部分は寒笑だが)下院議員暗殺という犯罪を隠すために、関係者の口封じを同じく暗殺という方法をとるのだが、なぜか主人公を殺すのを躊躇っている様子が感じられるのが話を展開するためのあざとさに思えた。
中盤からの反撃は、窮鼠猫を咬む的で面白かったが、意外と簡単に自白を迫ってしまい残念。もったいない。もっと敵を心理的に追いつめるストーリー展開であれば、よりのるのだが。
クライマックスの3者三つ巴の状況はジョンウーを狙ったのだろうか。そこだけ妙なケレンがあってかっこいいけれどちょっと浮いてる気もする。
主人公はとりあえず無罪放免となるわけだが、結局真相は闇に葬られてるみたいだし、そういう点でのカタルシスの弱さは気になった。
最近、特に増えてきた、ありがちネタを小気味よく配置することでポピュラリティを得ようとするダイヤブロック的シナリオ作成術で作られた映画のようであった。そこそこ面白くて、劇場を出たらあっというまにぬけていくような、そんなタイプの映画。
時と場所を示すテロップがタイプ音とともに表示されるよくあるカットだが、英語テロップを完全に消去して、日本語に完全に置き換えるのはやりすぎ。英語で見てる人にとっては、その情報はいらんとでもいうのか。