(主演:カートラッセル)
造られた戦士が人間の心を取り戻すまで。ウプププ。
どーってことない映画だった。ありがちな話。ありがちな展開。ありがちなオチ。設定もデザインも皆ありがち。全部ありがち。全然ダメダメ映画、というほどでもないが、まあそれに近いな。
赤ん坊から完全な兵士として育て上げるという設定はよくある話ではあるが、現実問題としてはどうか? もちろん人道上の問題などではない。費用対効果の面で絶対におりあいがつかないと思うからだ。
だって、20年近くの洗脳教育でパーフェクトソルジャー軍団を作るのはまあいいとしてもだ。どんなに優秀でも戦場ではしょせん生身の身体。殺されたらそれで即アウトでしょ。怪我でもダメだな、戦力としては。結局、唯一のメリットはコンパクトで高性能高機動なだけ。オレが上司ならそんなプロジェクトは認めない。もしやるならば『少数精鋭を時間をかけて』ではなく、大人の洗脳&改造によって大量生産、あるいは遺伝子操作による一定レベルの大量生産。とにかくいくらでも替えのきく物量作戦をとる。これと高火力遠距離攻撃によるせんめつ作戦の組み合わせ。あくまでも使い回しを前提とした作戦は考えるべきではないだろう。
閑話休題。そんな高い費用を注ぎ込んだ兵士を、指揮官のちょっとした自尊心のために戦わせて無駄に潰してしまうというのはいかにもおかしい。無能だし、そういう金の使い方は納税者の行政訴訟の格好の的だ。
しかも失敗を隠すために、ただ廃棄するというものどうか。ここは焼却処分をとって証拠はあくまで残さない。これだろ。ま、そんなダメ指揮ぶりだからこそ、あっさり殺されちゃうんだけどね。
そんな雑なストーリー展開に、いい加減飽きてきたところで、舞台はゴミ廃棄惑星に移る。こちらも荒廃した世界で細々と生活する難民というベタな設定&展開ではあるが、それまでのどう考えても変というようなことがなくなっただけ見れる。もっとも話はオチまで読めるステレオタイプだし、SFXも目を見張るようなイマジネーションは感じられないのだが。
そんなこんなで、まったく予想どおりに話は幕を閉じるわけだ。
最後にもうひとつ腑に落ちないのは、クライマックスにおける兵士達の挙動。確かに歳をとった兵士は戦力外として前衛から外すのはいい。しかし、それをただの土木作業員とするのはどうか? 金がかかっているのに、一般兵士よりしょぼい仕事に配置替えするというのは絶対おかしい。
兵士自体も最後にとうとう反旗を翻すのだが、生まれたときからの軍に対する絶対服従のすりこみはそう簡単になくなるもんじゃないと思うのだが。逆にそんな簡単に忠誠心がなくなるるようならパーフェクトソルジャーとして使えないのではなかろうか。
と、辛口な感想を並べてしまったが、だからといってまったくいかんというつもりはないのだった。かつてのパルプSF雑誌同様、初心者むけ作品として、これはこれで存在意義はあるのかもしれない。
カートラッセルのどこを見てるかわからない涙目が怖かった。でもって子どもを抱き上げて遠くを指差すラストショットにはガクンときたが、反面、製作者サイドの照れのなさ加減が微笑ましくもあった。