CHART-DATE : (1999/06)
作品
木乃伊
… ハムナプトラ 〜失われた砂漠の都〜

(主演:ILM)


お話

 時間を超越した愛。あるいは不倫カップルの顛末記。


お話

 まあまあ楽しめる娯楽SFX映画という予想どおり。話も演出も眼福も平均点。それ以上でもそれ以下でもない。もちろんそれはそれで“アリ”。堅実にヒットさせる映画というものも必要なのだ。

 冒険活劇である。
 制作者サイドも「モンスタームービーではなく、冒険活劇を作る」と明言しているし、実際、そういう映画になっている。しかし、そのせいかどうかわからないが、ミイラ男出現の恐怖というものが、本当にいっさい感じられないのだった。ミイラが出てきてなにか不都合でもあるのか? ないじゃん。みたいな感じね。
 とにかく敵役、神官イムホテップがちっとも怖くない。邪悪な存在、世界を滅ぼす存在といわれても、全然実感がないのだ。だって、そもそもの発端からして“不倫が見つかって罰を受けた”でしょ。所詮は色恋沙汰のトラブル。犬も食わないって。それにあの状況では、報われぬ恋の二人、神官側に肩入れしたくなる気持ちもわいてくるし。
 そんなこんなで、とんでもない拷問を受けたりして全世界を恨んじゃったのね、と想像もできる。ところが、復活してもヤツの狙いは「愛する人の復活=恋の成就」。じゃあ、別にほっておけばいいんじゃないの? と傍で見てて思わない? 思うでしょ。つまり、王様側が野暮天ばっかりだったために起こった些細な悲劇。とそういうわけだ。

 悪党は誰? といえば、むしろ主人公の方がヤな奴だ。簡単に仲間を見殺しにする。例えば、市内でマンホールに逃げるとき。あるいは神殿内でミイラの集団に襲われたとき。別に冷酷なキャラというわけではない。そのときできる最善策をとったまでなんだろうけれど、大目的のためにはある程度の犠牲はやむなしという感じがする。いや、ただの熱血正義漢よりはよっぽどカッコイイともいうんだけれど。

 話の展開上、なんか敵味方が入れ替わりたちかわりするのが、コンピュータRPGみたいで、ちょっといやだった。とあるイベントで仲間が増える。次のイベントに備えて不必要なキャラを排除するために、犠牲になって死亡。みたいなシステム的なパターンがあるようで。

 SFXは流石。これを見に行ったといっても過言ではない。襲いかかる砂塵、動き回る死体。もはやCGでできないことはないところまで映画はきている。めったなことでは驚かなくなってしまったが、この映画はビジュアルイメージが新鮮で楽しめた。(もっとも、冒頭の古代の神殿の様子は、背景のマット合成ばればれでちょっと寒かったも)

 イントロ部分の事の発端の説明だが、延々ナレーションでやられたのもちょっと。いかにもここは説明のパートです的つくりってのはどうかな。もっと現代の話(本編)の中に、挿入する形で説明していってほしかった。でもこの手のジェットコースタームービーは、へんに途中に説明シーンを入れて流れを止めるよりはよかったのかな、とも思う。

 宣伝ほどの大作ではない。手堅くまとめましたという感じは否めないが、逆にタイトだからこそよかったのかも。それなりに楽しめた。


お話
  1. 神官イムホテップはいなくなった。しかし安心してはいけない。ラスト、憎めない小悪党ベニーが神殿に閉じこめられ図らずもホムダイの刑を受けてしまった。呪いはまだ続くのだ。
  2. でも、やっぱりあんなに動くミイラ男は違和感があったなぁ(テイストとしてはむしろアルゴ探検隊)。新しいイメージはイメージとしていい味なんだけれど、包帯グルグルの味も捨てがたいわけで、それとのリンクをもう少しうまくできれはなお嬉しかった。
  3. ヒロイン役レイチェルワイズ。フリップフラップに超クリソツ。もう3人で三つ子といっても十分騙せるぐらいにうりふたつ(うりみっつ?)

お話
★★★★

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