(主演:柏原崇)
ひと夏(ちょっと前)の恋(ちょっと前)
特にすごい盛り上がりがあるとか、そういう物語ではない。ごく普通の若者が経験した、ほんのささやかな出来事のひとつ。そういう話である。大きな事件も起きるわけでもなく,宮古島で起こったこと出会ったことを淡々と語る。
観ていて、グッとのめり込んで観るといったタイプではなく,誰に感情移入するでもなく登場人物達の人生模様を別の場所から眺めているような感じ。
ある意味一昔前の邦画のような,地味な人間ドラマということもできる。実際そうなんだけれどね。『遠距離恋愛の二人がちょっとしたことでギクシャクして仲直りする』簡潔にまとめると、それだけですんでしまう。もっともそれが大変なのが人生だというのはいわずもがなですけれど。
ドキュメンタリー番組を作るクルー達の物語である。その撮影シーンでは、実際に素人さんたちを使い、まさにドキュメンタリーの手法で実際に作っているところが映画的でなくでおもしろかった(これもまた昔の邦画っぽい一因なんだけれど)。
まあ、あれだ。なんかノリノリで作品の中にのめり込める手合いの作品ではない。地味だし損をするタイプの映画だと思う。手放しで勧められる作品でもない。アイドル映画でも娯楽映画でも実験映画でもない。つまり映画なんだ。
面白かったですか? と問われれば即座に“ハイ”と答えることにはためらいをおぼえる。それでも見なくてもよかったとは思わない。そういう映画である。