CHART-DATE : (1999/07)
作品
口から出まかせ交渉人
… 交渉人

(主演:サミュエルL&ケビン)


お話

 口八丁。


お話

 面白かったと思う。練り上げられたストーリーに締まった演出、緊張感溢れる演技合戦。面白かったはずなのだ。なのに心底のめりこめなかった自分。う〜ん、体調万全じゃないときに見る映画じゃなかったのか。

 二人の交渉人のハッタリと説得がメインなのである。つまり台詞がもっとも重要なファクターで、些細な台詞ひとつひとつがその後の伏線としてつながっていたり、大きなブラフになっていったりもする。というわけで二人の会話劇に集中しなければならず、正直、字幕を追うのがつらかった。普段、映画を見るときは字幕とヒアリングの両方でフォローしているのだが、体調がよろしくないと集中するのがきつい。そういうことなのである。

 ここまでは当方の事情。
 もうひとつは、マスコミの弊害、予告編で事前に情報が入りすぎていたこと。あらぬ罪を着せられた交渉人が、人質をとって無実を証明するという基本ストーリーを知ってしまうと、サミュエルLが人を殺すようなことは絶対にないということが(観客にとって)周知のこととなってしまう。また、対するケビンも同様で、決して裏切ることはない。だから、いくつものブラフが行われるが、それは全てブラフであることがバレバレなのである。てなわけでクライマックスのヤマ場でサミュエルLが撃たれても、「ああこれもブラフだ」ってわかってしまうわけだ。もちろん、案の定大バクチで、大ドンデン返しということにはならなかった(なったら卓袱台ひっくり返してたけれど)。
 “あるいはサミュエルLが本当に犯人かもしれない”いう選択肢がないということは、“いったい誰が裏切り者かわからないという緊張感”がないということなのだ。結局、ケビン自身の台詞の中にある「誰が犯人でもかまわない。ただ無事に助け出すだけ」という部分以上のひねりはなかった。
 もちろん二人以外の誰が犯人かわからないというポイントはあるのだが、犯人探しはあまり強調されず、ストーリーは脱出劇になっていってしまう。となるとどうしても力技に頼る部分が出てきてしまう。二人がお互いを疑いながらもたたみかけるブラフで真犯人をあぶり出すというような、展開を期待する向きには残念なのだった。

 とはいうものの、十分面白い映画だった。細かい伏線や演技合戦に集中できる分、もしかしたら2度目のほうが面白い映画かもしれない。


お話

 あ、それと歯痛はおさえてから見ること。これは絶対条件ね。


お話
★★★★

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