(監督:平山秀幸)
ン年目のかくれんぼ(?)
うーん。つまらなくはなかったんだけれど、ちょっと期待外れだったかな。
映像と演出の投打がかみ合っていないなぁと思ったのだった。
ビジュアルセンスは“怪談”として結構いけてると思うのですよ。例えば、海岸に打ち上げられたランドセル。廃線を走る夜の電車。動く人形。指さす写真。怖いと思わせる絵づくりができていると思った。
CGもかなり使用されているが、画面から浮いていない。風景も、夕日や夜景もどこかで見た夏の田舎町の美しさを描き、そこに怪異が織り込まれてくるのだが、幽霊の見せ方や色合いが画面に馴染んでいて、真に迫っている。うまいなと思う。
しかし映画は絵だけではない。今回、話の中心はやっぱり子供。であるがゆえに、巧みな演技で観客を画面に引き込むというようなわけにはいかない。別にそうあらねばならないわけではないのだが、拙さが目立っちゃうと映画にうまくシンクロするのはちょと難しい。というわけで拙さをフォローする演出というのは必要だと思うのだ。
あとキャラがあまりたってないなというのも難点か。
主人公は八重だが、登場人物が多すぎてあまり八重を押さえ切れていない。せっかく東京からきたといいう設定ならば、ベタでもいいからひと夏の出会いと別れ(別にそれは恋愛とかそういうものでもなくてもいいのだ)みたいな部分を強調してほしかった。だってそのほうが泣けるでしょ。本当は『幽霊のおじさんことコウちゃん』がその役割を担っていたんだけれど、なんか二人の関係がいまいち希薄で、別れの泣きつぼに至らなかった。残念。
予告編を見たときの印象は、もうバリバリの“恐い”怪談だったし、そういった話を期待していたのだ。ところが実際にはあまり、というかまったく恐くなかった。ベースにあるのが果たせなかったかくれんぼというエバーグリーンでノスタルジーな話だからなんだろう。観る前に、呪われた灯台とか町を襲う大津波とか学校を泳ぐ幽霊魚とか、「こりゃーもしかして『うずまき』みたいな感じ?」と勝手に妄想を広げていたこっちがいけないのかもしれないけれど。
しかしそれにしてもやっぱり怪談なんだし、ゾゾーッとさせてほしかった。一番残念なのは、せっかく『津波をよけるために防波堤に囲まれている港町』というホラーにとって絶好の条件なのに、それを全然利用していない点。「魑魅魍魎の百鬼夜行で逃場なし」みたいな話になるかと思ったのに。
楽しめたけれどもっと怖がりたかったなぁ。
今回のサービスシーンは学校のプールでのひとこま。男子女子の水着にクラクラ… って、クラクラするような奴はやばいんだってば(俺はまだまだそこまでストライクじゃないもん)。でも強いて言うなら主人公たちの従姉かな(ってやばいか?!オレ!)。