(妄想・脚本・監督:ジョージルーカス)
昔々とある宇宙の果てで…
基本的にこれ単独で観て結論を語るべき作品じゃない。あくまでも9部作の中の第1作としてみるべきだ。
SWで描かれ、語られるものは、どこかの星々の世界の歴史、すなわちサーガである。だから人間が描けていないとか、話に教訓がないとか、へんな小理屈をひねるのは筋違い。登場人物もなにも、あくまでも大きな歴史の動きの構成要素でしかない。主役はあくまでも歴史。そして、その歴史を描く映像叙事詩(ちょっと言い過ぎ)としてエピソード1は成立していると思う。
異世界ファンタジーとしてもっとも重要なファクターである“一貫した世界観”が崩れていないのも好印象。お手軽ファンタジーにありがちな、変にエキゾチックねらいのバランスのくずれた世界観に比べ、(完全にとまでいかないが)破綻がない。
眼福映像的な見所も満載。のっけからアクション、水中都市と脱出劇、スピードレーサー、共和国首都の姿、再びナブーでの大戦争、ジェダイの戦い。これがワクワクせずにいられるか。全編SFX、全編見どころといってもおかしくない。見ること自体が楽しいというのは映画の原典である。
とはいうものの問題がないわけでもない。
もっともひっかかったのが『状況設定がわかりにくい』という点で、その一番の混乱の元はアミダラ女王。前半、アミダラがナブーという一地方惑星の女王であることがわからなかったので混乱した。「ジェダイが特使として派遣されるが、その指揮をしているのは誰なんだ?」とかね(レイアが共和国女王だったというのも誤解の元だ)。
字幕をきちんと読めばわかるのだろうが、幸か不幸か、映像に気をとられちゃってさ。とにかく世界の勢力分布地図がわかるまでがきつい。その分、世界の図式が見えだしてきてからは俄然おもしろくなってくるのだが。
もうひとつの不満はグンガン人の扱い方。
イウォーク族の時にも感じた、未開種族(本当は独自の文明文化を持つのだが)に対する放漫さが鼻につく点である。あくまでも発展レベルの低いものとしてとらえている節がある。ともに戦おうといっているが、その実、駒のひとつとしか思っていないような印象が残った(ひねくれてる? オレ)。
ドジで憎めないコメディリリーフとしての役割を与えられているジャージャービンクスにも不満がある。どうみても子供受けをねらったキャラであることがみえみえで、あざとらいやらしい。
映像技術面からは、さすがにSFXはすごいが、ケレンある演出があまり感じられなく、さらっと流されてしまう感じがある。たとえば、水中都市からの脱出やポッドレースのシーンなどは確かにワクワクするのだが、振り返ってみるとただのゲームのリプレイをみせられているみたい。もちろんそれがあたりまえの異世界なのでそれでいいのだという意図があるのなら別ですが、映像としてはもっと引っぱってドン!とみせる感じがほしかった。
ま、でもそこまでシニカルに観ているわけではない。不満部分はあくまでも観終わった後、考えたことであって、2時間、濃密なジョージルーカスのインナスペースを堪能できたことはまぎれもない事実なのだ。
残すはあと2作(本当は5作品なのになぁ)、もうワックワク。