CHART-DATE : (1999/08)
作品

… エントラップメント

(主演:イギリスの古城、マレーシアのツインタワービルなど)


お話

 いいえ、盗まれたのは貴方の心です。


お話

 そこそこ楽しめた佳品といったところか。
 のっけから華麗なる盗みのテクニックを披露。で、話は進んでいくのだが、まあそれは、お約束的展開なので、ことさら琴線に触れることもない。
 中盤の黄金仮面奪取のシークエンスでまあまあ盛り上がってきて、クアラルンプールに移動するあたりから、人間関係というか誰がどういう役回りでどうつながっているのかが見え出し、おもしろくなってくる。登場人物全員が、大なり小なり当初の役とは異なっており、それぞれがそれぞれに罠をしかけている。『二重スパイなんて可愛いもんだよ』みたいな。結局一番シンプルだったのが、新進気鋭の女泥棒だったちゅーのが、その入り組んだ状況を示しているかな。

 結局、誰も損してないんだよね。盗まれたもんだって中小企業の含み損でしょ。美術品は保険でカバーされているし。人が死なないというのも、無駄な裸サービスがないというもの、好感が持てるのだが、でもこれってよーするに子供向け映画なんじゃないかしら。

 適度にハラハラドキドキしてロマンスもあってドンデン返しもあって、娯楽映画の基本ですね。


お話
  1.  ラストでショーンコネリーが、かっこよく消えたと思ったら実は息を切らせて階段を上ってきましたというあたりが、かっこわるくてかっこよかった。その後、今度は本当にかき消えるのも含めて。
  2.  黄金仮面奪取に向けての練習シーンが実にエロチック。無音の中、荒い吐息とぬめるような身体。もっともそう見えるように撮っているのだ。そう感じても当然である。でも本番のキャットスーツん時よりジャージの方がよりエロチックなのはオレの過ちなのだろうかね。
  3.  日本においてもっともポピュラーな泥棒といったら、もちろんあのサルヅラ赤ブレザーの男。で、どうしてもスクリーンの後ろにその顔を思い浮かんでしまうのはしようのないことだろう。特に相手役が美貌の性悪猫的性格の女泥棒とあってはね。  ま、恋物語をからめるのは別にいいんだが、コネリーだと老いらくの恋になっちゃうでしょ。ちょっと哀愁でちゃうんだよね。色恋沙汰だけじゃなくて、泥棒のプライドの部分においても、まだまだ若くて無茶ではあるがこれからのびそうな若手と、いまだ現役ではあるが先が見えてきはじめた対比の寂しさとかね。それもテーマの一つなんでしょうけれど。もっと洒脱であってほしかった。
  4.  クライマックスのヤマが超高層ビルでのシゴト&逃走とあれば、もう宮崎アニメだっちゅーの。ね? どう考えても意識してるよね。
  5.  字幕がよくない。コネリーの台詞ってすごく粋なんだよ、本当は。それを字幕では意訳どころか単なる状況説明でしかない。あれはいけない。せっかくのお洒落な脚本が台無し。
  6.  ヒロイン。ゾロのときよりよいね。コスチュームものがあわない役者なのかもしれない。

お話
★★★ ☆☆

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