(監督:馬場康夫)
ノリノリのチャリ対バイクの大勝負(チャリだけに)。
実際、あまり期待していなかったのだ。ところがどっこい、思い切りはまってしまった。グーッすよ、グー!
ハイソで時代錯誤バブリー的チャラチャラしたオープニングでちょっと外したか? と思わせておいて、自転車便が疾走するシーンへ展開するや、もうどんどん魅せる魅せる。軽やかで鮮やか。メッセンジャーというネタに実にふさわしい演出なのだ。ホイチョイらしいディテールで攻める演出の冴えってやつですか? バイク便と張り合って走るチャリ、車の間をすり抜けていく爽快感。ギアを変えるとカチャカチャとチェーンが移動する様をきちんと捕らえてみせる。クーッ! いかすーっ!
これにからむ音楽も本間勇輔のノリノリブラス系で超カッコイーし。
てなわけで、全編こんな感じの都会を走り抜ける爽快感を基調とした話である。話自体は実にシンプルかつありがちで、昔の東宝青春モノに近いテイストでもある(あ、だから若大将がでているのか!)。だからフラストレーションがない。定番のよさというモノがよい方向ででているので、安心できるし、オチはまるわかりなのだけれど、逆に安心して(?)ハラハラドキドキできるというわけだ。
最近特に目立つ受けそうなパーツ寄せ集めパッチワーク映画のあざとらしさのようでいて、実はそうではなく、定番の物語をアップトゥーデイトして描いているということなのだ。その違いは“心意気”(ちょっと誉めすぎ?)。
屁理屈をこねようと思えばいくらでも突っつけるが、それは野暮というもんでしょう。主人公ナオミの台詞じゃないが「だって気持ちいーんだもん」。その快楽原則に従ってよし、なのだ。