CHART-DATE : (1999/08)
作品
配達人
… メッセンジャー

(監督:馬場康夫)


お話

 ノリノリのチャリ対バイクの大勝負(チャリだけに)。


お話

 実際、あまり期待していなかったのだ。ところがどっこい、思い切りはまってしまった。グーッすよ、グー!

 ハイソで時代錯誤バブリー的チャラチャラしたオープニングでちょっと外したか? と思わせておいて、自転車便が疾走するシーンへ展開するや、もうどんどん魅せる魅せる。軽やかで鮮やか。メッセンジャーというネタに実にふさわしい演出なのだ。ホイチョイらしいディテールで攻める演出の冴えってやつですか? バイク便と張り合って走るチャリ、車の間をすり抜けていく爽快感。ギアを変えるとカチャカチャとチェーンが移動する様をきちんと捕らえてみせる。クーッ! いかすーっ!

 これにからむ音楽も本間勇輔のノリノリブラス系で超カッコイーし。

 てなわけで、全編こんな感じの都会を走り抜ける爽快感を基調とした話である。話自体は実にシンプルかつありがちで、昔の東宝青春モノに近いテイストでもある(あ、だから若大将がでているのか!)。だからフラストレーションがない。定番のよさというモノがよい方向ででているので、安心できるし、オチはまるわかりなのだけれど、逆に安心して(?)ハラハラドキドキできるというわけだ。
 最近特に目立つ受けそうなパーツ寄せ集めパッチワーク映画のあざとらしさのようでいて、実はそうではなく、定番の物語をアップトゥーデイトして描いているということなのだ。その違いは“心意気”(ちょっと誉めすぎ?)。

 屁理屈をこねようと思えばいくらでも突っつけるが、それは野暮というもんでしょう。主人公ナオミの台詞じゃないが「だって気持ちいーんだもん」。その快楽原則に従ってよし、なのだ。


お話
  1.  ホイチョイらしい演出として、ブランドをちりばめるやり方も健在。なんか“なんクリ”的いやらしさを感じるところがないわけではないが、考えてみれば自分も似たようなことをやってるんだよね。アウトドアならJWSやパタゴニア、グラミチでそろえてみたり逆にそれらをタウンユースに着くずしたり、TPOにあわせて(あるいはあえて外して)その道の雄であるメーカーを選択するのは正しいし、だから彼らが自分の商売道具にこだわりをみせるのも当然といえば当然なのだ(もっともバドだけはどうかな? あ、単にオレが軽いビールを好まないだけなのかもしれないけれど)。
     それに制作サイドから見れば、タイアップで制作費を浮かすというのもありだろうしね。予算不足で面白い映画の製作が頓挫してしまうよりはよっぽどいい。
  2.  しかしあんな危険な乗り方してたら命がいくつあってもありませんなぁ。
  3.  オレの飯島直子感ってなごみ系ではなくでタカビーで超わがままな女。で、この映画の中ではそのまんまなのが、実によかった。合ってる。トラックに追いかけられてヒーヒー言わしたり、啖呵きったりするところとか、特にね。
  4.  京野ことみである。派手派手なチャリファッションの中で一人だけ黒で決めるあたり、もうキミってなんて分かってるコなのかしら、キューって感じ。
  5.  エンディングの全員参加ラップも微笑ましくていい。なにより若大将のDJぶりが観られただけでもオ・ト・ク(笑)。

お話
★★★★★

ページトップにもどる