(監督:ヤンでボン)
ホーンテッドマンション。
いままでのヤンデボン作品って、いわゆる“つかみはオッケー”なサビアタマが多いでしょう。ところがこれはまたえらくすごく地味な導入なのだ。で、ちょっと話にのりそこねて、結局そのまま最後まで。といった感じである。
ホラー映画じゃないからちっとも怖くない。じゃあ、話でみせるのかというと、そっちもダメなんだなぁ。基本的な設定がうまく生かされていない感じ。
だいたい、導入部の死んだ母親の相続がどうのこうのというのは不必要。その後の話の展開に全然生かされていない。
ゼタジョーンズ演じる怪しげな自称芸術家も、レズ的な登場をしたくせに全然なんのアクションもおこさねぇ。
目を怪我した助手と一緒に病院にいった被験者その4なんか、そのまま作品からフェードアウトで、いったいなんのために登場したのかわからない。
たしかに舞台の『ヒルハウス』内部の造形はすごい。それはもう眼福であるといって過言ではない。遊園地のお化け屋敷のような迷宮。そこここに胡散臭い仕掛けが満載。しかし舞台だけで2時間どうぞ、というわけにはいかないでしょう。
CGはもはやあれぐらいじゃどうということもない。あれぐらいで普通。CGだから眼福という時代は2年前に終わってる。
やはり話としておもしろくないといかん。
あれだけ(登場人物を)怖がらせておいて、でも死なさないというのはいい。あくまでもびっくり屋敷、幽霊屋敷であるということをきっちりと厳守している。と思ったら後半かなり残酷な方法で人が死ぬ。アリャリャといった感じ。
実はこの映画の一番の見どころ(聞きどころ?)は音響効果。場内をぐわんぐわんいわす重低音や風の悲鳴のような高音が、ぐるんぐるんまわりまくり。これはさすがにすごかった。
結局,壮大な音響効果システムの実験につきあわされた感じ。でも映画としてそれじゃダメじゃん。