(主演:シャロン・ストーン)
女と少年の逃亡劇。とみせかけた成長物語。
所詮リメイク映画ということで、あまり期待していなかったのだが、これが大正解。うーん、渋すぎるっ。さすがシドニールメット。
ジャンルでいえばフィルムノワールなんだろうな。しかし、派手なアクションや銃撃戦なんかほとんどなく、だから人死にも冒頭のマフィアの金をかすめとった一家の惨殺以外はない。
あるのはそれまでの情婦生活をふっきろうとする女と少年、それを追う男達の物語である。しかも逃げるのはボスの情婦だった女で、だから殺すか殺されるかといったギリギリの綱渡りというような話にはならない。とはいえ、生っちょろいわけではない、やっかいな状況なのだ。そして、その状況をいかに切り抜けたかというのがこの物語である。
オリジナルは見ていないのでなんともいえないが、もっと派手なのではないか。傑作映画をリメイクするにあたり、話の焦点をある女のひとつの小さな変化に絞り込んだのではないだろうか。そしてそれにあわせてアクションを削りにけずって人間のドラマへと昇華させたのではないか。あくまでも想像だけどね。
今回、主人公はマフィアの情婦という設定で、かつ紅一点の役どころということもあり、身なりこそ毛皮やブランドを着こなしてはいるが、ゴージャス感を醸し出すのではなく、それまで金を使いたい放題だった女の脱皮感を描くための必然としてあるのが、うまい。ちょっとくたびれた、美しい情婦の雰囲気をうまく描き出していると思う。
小粒な作品ではある。が、へんにアクションやお色気に走らない、じっくりみせる佳作だった。いい。