(監督:チャン・ヤン)
愛と結婚をめぐる6つのものがたり。
愛ってなんだろう。それは決して幸せいっぱいだけじゃない。“好き”という一途な想いとは違う。嬉しさや悲しみ、いろいろなものがそこにはある。そんな話だ。
5つ+1つのラブストーリーからなる、変則オムニバスで描かれるそれぞれの恋愛模様だが、エピソードはどれもけっして甘いものではない。タイトルどおり、酸っぱくて辛いものだ。
どれもがハッピーエンドというわけではないが、それもまた人生の1ページ。例え悲しい結末であったとしても、そこに描かれる想いはどれも愛おしく、だから人恋しくなる。
例えば、第1話の初恋物語は、誰しもが経験するせつない想いがつまっている。それが実らなくても、好きだったという気持ちはとても大切な想い出となる。
すべてのエピソードをここで開陳はしないが、とにかく、誰しもが経験したことのある、あるいは経験する可能性のある、実にありふれたリアルな物語を自然に語っている。変にドンデン返しのハッピーエンドを作らないところがリアルでもあり、観る者に逆に人を想う力を得たいと強く思わせる。
人生においては様々な障害やすれ違いなどもあるのだろうけれども、それでも愛する気持ちは大切なものなのだとそのようなエピソードの積み重ねがあって、だからこそラストの結婚式のシーンにはほろりとくるのである。