CHART-DATE : (1999/11)
INFERNO,NOW
… 地獄
(監督:石井輝男)
ファウスト
やりたかったことはとてもよくわかる。現在の社会状況に対しての憤りを、画面にたたきつけ、早く解決せよ、正しく生きよと強くアジテートしているのだろう。
だからいい作品だったかというと… ねぇ…
映画としてみた場合、どうなんでしょうか。陳腐なストーリーに、チープな映像、どうにもアングラ前衛劇の独りよがりなにおいが漂ってきて、どうにもいかんのだ。
かのカルト宗教の顛末をまんまお話にしたので、話としては陰々滅々として、救いがないというのに輪をかけて、サティアン内のつくりもちゃち&汚く、見ていていやになってくる。いや、それは現実から目を逸らすというのとは違うと思うのよ。映画というエンターテイメントとしてあまりにもかけ離れている。そう、観ていて浮き立つ部分がないということなのだ。
ちぇ、けっこう期待して見に行ったのにがっかりだ。
- スペシャルメイキャップがちゃちなんだが、だからといってリアルに撮ったらそれはそれでイヤだよな。
- 幼女誘拐殺人犯の宮島(仮名)。犯人に似てなくもないが、それよりも香取慎吾に似てる。ま、まあ登場人物全員、似てる人を集めてるんだろうけれどね。
あと地獄での責め苦に対して「いっそ殺してくれ」と叫んでいるが、なぜ誰も「もう死んでるんだよ」つーつっこみを入れないのか?
- アングラ劇だけに裸満載(偏見)だが、全然(なにが?)。それよりも主人公のキャミソールからうすく透けて見える乳首のほうがグッときたね(だからどころ見てるのか、オレ)。
- ラスト、永遠なるものに祈りをというので「例えば太陽」というのは違うんじゃないの? 別に永遠じゃないっしょ、太陽。
それはそれとして、太陽を祈りなさいって、ようするに新しいヘンな宗教の誕生に過ぎないんじゃないのか?
★
☆☆☆☆