(監督:デレク・チウ)
様々な出合いと告白と別離。それでも想いは永遠に…
三人のゲイの同居生活を中心にまわるライトコメディかと思ったら、ちょっと違った。確かにコメディタッチではあるが、内容はかなりリアルな人生賛歌だった。
ゲイというのは確かに重要なファクターであり、そのことによってストーリーは成立しているのだが、しかし根底にあるテーマは、『モラトリアムからの卒業』ではないかと思った。しかしそのために友人の死という重い代償を払わなければならなかったのだけれど。
もうひとつの命題は、愛に性別なんかは関係ないということ。結局、人を好きになるのに、男も女もなんら関係はないのだ。フィーリング、と言ってしまうと安っぽくなってしまうのだが、要するに「男だから好きになるのでも、女だから愛せるというのでもなく、互いにわかりあえる関係こそが大事である」という実に単純な答えが描かれている。
しかしねぇ、同性愛をモチーフにした映画ってどうしても描き方が同じようになってしまうのだよね。“ゲイの描きかた”ではなくて、“話の組立てかた”がね。
『世間に隠していたのが、ある事件をきっかけにカミングアウトするに至り、そのため一時は白い目で見られることになるのだが、それでもわかってくれる人はいて、だからなにも怖いものなどないのだ』というひとつの定型があるでしょう? もちろんそれがいかんといているのではない。すべからくパターンというものは存在しており、結局はその見せかたなんですがね。
話も演出も基本的にオーケーだったんだけれど、ただラストが3人の人生というよりはホイとフクメイの恋の成就に収束してしまったのがちょっと残念だった。それはそれでいいんだけれど、3人の人間模様を最後までとおして欲しかった。
ともあれ、小気味よくまとまった話で少しの涙と少しの感動を得た。ただ見終わって妙に人恋しくなってたまらなくなるという後遺症があったのは誤算だったかもね。
主人公のひとりガウ役のエリック・コット。結局自殺しちゃうけど、なにも死ぬこたぁないんじゃないの? とも思ったけれど、ああいう普段アッパー系の性格ってえてしてそういう脆いところあるんだよね。なんかとてもわかる気がした。それはそれとして山崎芳生にえらく似てるよね。