(監督/脚本:アルフレッド・チョン)
大事なメールを届けるために香港島を自転車便は疾走る!
これが驚いたことに(失礼!)、お笑い芸人を使ったお手軽お笑いアクション映画でも、小銭稼ぎのアバウトな企画モノ映画でもなく、シンプルで純な上質の青春ラブストーリーなのだった。
もちろん笑えるところもぎょうさんあるが、それはギャグというよりも(もちろんギャグ的なネタもあるけど)「こいつバカだなぁ」という微笑ましさの笑いである。
とにかく、主人公が“バカ”なのである。頭悪いバカではない。この場合のバカとは“若さ”というのと同意語である。
例えば、「好きな女のためになりふりかまわず突っ走って香港まで来てしまう」のもバカだし、「すぐ手が届くご馳走があってもヤセ我慢してしまう」のもバカ、「どうでもいいことに命かけてカッコつけたりする」のもバカがなせる技である。それは純で青臭くて、どうしようもないバカなんだけれども、実はとてもカッコイイことだったりする。そう、まさに青春期の物語なのだ。だから観ている者も、そういう時期を過ごしてきたモノならば、共感(ちょっと照れくさいけれどね)してしまうのだろう。
設定も香港に行った日本人というシチュエーションを活かして、見事なまでの奇妙な三角関係を演出する。これが話を盛り上げるんだよ。言葉が通じないために、振った彼女が通訳をせざるを得ないことからくる笑いやほろ苦さ、心の変化。人間模様をおかしく切なくフィルムにすくいあげている。う〜ん、いいねぇ。
アクション映画を期待していった者や、ただのお笑い映画を期待していった人にはがっかりするところも多いかもしれないが、オレにとっては「無問題!」でした。