(監督:バリソネ)
スパイ、西部を行く。
毒にも薬にもならないお子さまランチなれど、それとわかっていれば、それもまた楽しといった感じのお話。所詮チャカついたSFXアクションコメディ。素直にワーワー楽しんで観ればそれでいいのだ。
もっとも、だからといって不満がないわけでもないのだけれど…
とにかくオープニングが超クール。猛烈にカッコイイのだ。もしかしたらこの映画の中で「一番の見どころはオープニングである」といっても過言ではないかもしれない。「007イン西部開拓時代」みたいなイメージでそれはノリノリなのでR。ま、実際、大統領の特別捜査官なわけで実際そのとおりなんですけれど。でもね、あのオープニングをまず見せられちゃったおかげでこっちはもっとクールでスマートでソリッドな話を期待しちゃったのさ。ところが実際には、タイトルどおりの粗野で野蛮で汚い荒くれ者どもなイメージが前面に出た話になってた。
とそんながっかりはあったが、全体の絵づくりのトーンは実は嫌いではない。時代背景や設定がソネンフェルドの感性にあってたのだろうか、猥雑な悪趣味が前面に出てきているのが、オレにもフィットしたみたい。
SFXも特ににこれといって“ここを観ろ”的な見どころはないけれど、とりあえず巨大鉄蜘蛛ですか、やっぱ。リベットだらけの古色蒼然的なメカなのに動きはスムーズというのはけっこうオレ好みではある。が、いかんせん鉄の重みの表現に欠けるのは残念だ。
話の展開も雑でそこかしこにヘンな飛躍がある。そのギクシャクした部分がはじめから意図されたものだったのか、編集段階でのなにかだったのかは謎。ほら、なんかこの手の映画ってファイナルカットを監督が持っていなさそうじゃないですか。まあ、なにがどうあれ、子どもだましだからテキトーに尺合わせとけばいーやってのはないと思うんだが。
そうそう、子どもだまし的な不満がもうひとつあって、せっかくの西部劇なのにガンファイトが全然ないところがそれだ。銃規制とか子どもへの悪影響とかそういうナニカ大きな力が働いたのか。まあオレも銃犯罪の氾濫を憂う者ではあるが、でもこんなノーテンキ映画でマジに銃打ちたくなる奴なんていないと思うんですがねぇ。
ま、そんなとこですか。