(監督:テリー・ギリアム)
神様が創造をしくじった…
元々原作がノンフィクションで、ドラマ性やオチのある話じゃない。それを知ってるこちらとしては、だから物語としての映画を期待していたわけではない。でも、しかしそれんしてもこれではあまりにも無意味ではないか。
話なんてなきが如しで、ラリった二人がベガスでひたすらドラッグをきめまくる。それだけ。コメディじゃないからメチャクチャな行動が生み出すある種の壮快感はなく、悲劇でもないから退廃したアメリカの象徴たるベガスを暴き出すこともない。本当にラリってるふたりを映し出しているだけ。実に退屈で空虚だ。
では演出どうかというと、まさにバッドトリップ状態で見えるものをそのまま映像化したというもので、それを面白いと思える人ならあるいは面白い映画になのかもしれないが、オレには合わなかった。ただ小汚くて下品なだけ。ギリアムならではのこだわり&クセの強い演出もはっきりいって全然感じられず、なんかなんでこんな作品を撮ることになったのか、想像できない。というかヘンな勘ぐりしかできません。
結局、70年代の病んだアメリカ(というものがあるとして)なんて、それを実体験していない身にはなんの感情もわかないというわけだ。そんなもんについて語られてもどーでもいい。
期待していたわけではないが、もう少しなにか真理を語ってくれるもんだと思っていたのに。残念だ。
ゴンゾジャーナリズムについてだが、またまたオレは寡聞にして知らなかったわけですが、パンフ等から読み取れる限りではようするに量子力学みたいなもんなんすかね? ほれ、観察者の存在自体によってその観測結果が変化してしまうというやつ。