(監督:ピーター・ハイアムズ)
西暦2000年問題。
いろいろと問題の多い映画である。
というのもオレが宗教ぎらい、特に一神教ぎらいなせいでもあるんだけれど。なんか人のつくり出した共同幻想に踊らされてるだけじゃん?
それでもエンターテイメントとして成功しているならばオレも全然オッケーなんだけれど、こいつはなんか引っ掛かるとことがない。よくいえばクセがない。悪くいえば平凡。そんな話だった。
オレ的に、納得できないのはとりあえず次の3点。
まず、サタンによる世界の支配がなんでいけないのか説明不足。一般に“悪魔=悪い”となっているが、客観的に考えると、ようするに野党と与党が入れ代わるだけの話でしょ? 映画の中でも具体的にどう問題があるのかきちんと語られておらず、これじゃ保守派のほうが安心だからみたいな弱い根拠しかない。オレってば保守派ぎらいでもあるからなぁ。
もうひとつは、神の側が勝利するその手段が銃による直接攻撃という、結局武力の行使であったということ。なんのことはない単なるパワーゲーム。あれでは神様が正当性の主張をしても空しいだけでしょ。
その3。悪魔がおバカな点。サタニストがどれだけの規模なのか具体的にはわからないがすくなくとも画面上に登場するくらいの人がいるならばもっと効率的な計画ができたはずだし、それ以上に悪魔が自分の能力を効果的に用いていればもっと簡単に決着がついたと思うのだが。
等など、突けばもっといろいろあるのだが、まあ、とにかくどうにも本質的な矛盾を抱えたまま終わってしまうすごく中途半端な映画であったのだ。
あ、そうそう最大の問題があった。クライマックスがいかん。あまりにも安直な自己犠牲の上に成り立つ勝利。これでは誰も納得できないのではないですか? 別にハッピーエンドでなければならないというつもりはないが、カミカゼアタックは、安直に泣かせようとする小狡い手段だし、そもそもひとりの命によって世界は守られた的展開はやっちゃいかんのだ。もっとなんとかしたれよ。神さんよ。
SFXな眼福も派手な火薬量もアクションも(あとエロチックなムードも)ほとんどなく、実に地味目。残ったのはトホホ感だけだった。