(監督:シャンカル)
おちゃめなふたご。
タミル語映画ってみんなこんな感じなの?
もっと純愛ラブストーリー(言葉重なってるね)かと思っててたのに、違うじゃん。いや純愛でもあるんだけれど、オレはもっとロマンチック街道かと思ってたんだよ。ところが、かなり大バカ入ったエンターテイメント。いやそれがダメっつーわけじゃないんです。それはそれでありですから。
ただ、いろんな意味でえらくゴージャスなところが今までとは違うところ?
画面からゴージャス感がビンビン伝わってくる。例えば、空撮あり。CGあり。世界各国でのチョイロケありで、もう金かけてるなぁ。
で、その効果もね。グランドキャニオンでのダンスシーンは群舞ではないんだけれど、そのぐるんぐるん廻るカメラワークだけで鳥肌たった。
(一応)双子が3組も登場するのだが、ありがちなカメラ分割だけではなく、体の位置を入れ替えたり握手したり、あまつさえ肩まで組んだりもうやりたい放題。SFX技術はここまできたか、というかもはやこのくらい当然の世界なんだなと実感した。結局、手法ではなく表現が重要なんだなぁ。そしてもちろん表現はストーリーあってのものである。
となると“双子”というテーマがどれだけ生かされているのかということになるわけだが、正直なところあまり意味がないのではと思ったのだった、前半パートではね。だって別に一人息子であっても話が十分成立するんだもの。双子ならではのいれ替わり間違いや、誤解からくる恋のサヤあてなどはまったくなく、ふたりの愛は、片われの弟に見守られながら、順調にはぐくまれていく…
と思っていたら前半の山場で、すごいことになるのだった。父親も双子、相手の女性も双子(?)というとんでもない状況が判明し、それぞれの恋模様、家族の想いが錯綜し、話は複雑に入り乱れていく。俄然面白くなっていく。
後半舞台はLAからマドラスへ移り、さらにすごい話になっていく。いくのだが、これがシリアス方面に進むのではなく、それはもうしっちゃかめっちゃかな、往時のハリウッドコメディを彷佛させるドタバタコメディ。ある意味、潔い。ストーリーも破天荒ならば演出も無茶。CGでガイコツも踊ればTレックスも踊る。もはやなんでもありの世界。ベタな大バカムービーだよ(もちろんこういうのも嫌いではないのはいうまでもない)。 まあそんなこんなでも、ラストで様々な想いは収まるべきところに収まり、ふたりの愛はやっとこさ成就し、大団円はきっちりと決めて(ちょっと淡白かもしれないけれど)、めでたしめでたし。気軽な気分で楽しむことができた。