(監督:ジョニー・トゥ)
ヒーローは死なない。決して。
いやもう、とにかくかっこいいんだ。
仁侠マフィア映画、つまりフィルムノワールは、好んで観る程は好きなタイプの映画ではないのだけれど、でもいいものはいい。
「かっこいい」といっても、香港アクションの定番、いわゆるスロー撮影やワイヤーワークというような絵的なそれではない。銃撃戦も絵としてのケレン味に重点をおいてはいないようで、故にその手の映画を期待していると「求めているもんと違うガッカリ感」に捕らわれてしまう。
じゃあ、なにがかっこいいのかというと、それは男気、これに尽きる。男の意地がぶつかりあうことで生まれる意気、悲壮感。これがかっこいいんだよ。ようするに「オレの死に様、みせてやる!」ってやつだ。
そんな熱い男の生きざまの中では、ワイン&コインの子どもっぽい諍いまでがかっこいいんだなぁ。かっこいいしかボキャブラリーがねぇのかオレは、って感じだけど。
もちろん男だけがかっこいいのではなく、女もまたかっこいい。愛する人のために自分を捨てる。例えその身が炎に焼かれ、恥辱にまみれようとも。
ちょっと離れてみれば、話にアラはあるし、展開にギクシャクする部分もなきにしもあらずではあるが。でも許すよ。オレは。
香港ミーハーにとってはレオンライのクールでホットでスタイリッシュなお姿が見られればそれでいいんだろうけれど(ま、オレも好きな役者なんだけど)、でもこれはラウチンワンの映画だ。ま、オレが元々ラウの熱烈ファンだからかもしれないけれど、贔屓目を差っ引いてもかっこいいのはラウだろ。前半のテンガロンハットにハバナ葉巻をくわえ白いスーツの伊達男ぶり(エースの錠か?)にクラクラくれば、後半の両足を失ってのやさぐれぶりから壮絶な死に様までもうオレの男ゴコロは痺れっぱなしなり。