CHART-DATE : (2000/02)
作品
 その次は、お楽しみ…
… ワンダーランド駅で

(監督:ブラッド・アンダースン)


お話

 頑固さは狭量なる心の表れ


お話

 お洒落で小粋な出会いの物語。こう書くとスカした嫌な映画のようだが、これがなかなか侮れない。多分主人公のふたりが若さに任せて突っ走ることのできる20代ではなく、どうしても自分を押さえてしまう30代であるせいなのかもしれない。ま、その分観ていてじれったいというのもあるのだけれど。

 運命と偶然の狭間でなるようにしかならないのが男と女。出会いは運命などではなく、たくさんある選択肢の中のひとつで、それはまったく偶然としか呼ぶことができない。とはいえ結果は常にひとつしかなく、だからそれが運命だったと思うしかないともいえる。

 とにかく言葉がいい。粋でいてちょっと胡散臭い警句がポロポロとこぼれ落ちている。会話の掛け合いもまたいい。これがアドリブであるいうのが、いやまったくすごい。特に冒頭の別れのシーン、ビデオをネタにした掛け合いは、上手いし笑える。もっとも笑える映画を目指しているわけではないみたいなので、痛し痒しかもしれないが。

 ストーリーは実は特に大きな盛り上がりはなく、ふたりの主人公はすれ違ってばかりでいっこうに出会わない。すれ違いといっても会おうとして会えないのではなく、お互い見ず知らずのまま。しかも“運命の二人”という扱いでもなく、出会ってそれがハッピーエンドであるかどうかもわからない。それでも出会うこと新たなきっかけであるとすれば、やはりそれはハッピーなのだ。
 ドラマティックとはとてもいえない二人の出会いによって映画は幕を閉じる。それを見届けることができた私もまた少しの幸福感を持って劇場を出ることができたのだった。


お話
  1.  映画のムードは水の中を漂う浮遊感覚。悲しみを秘めた幸福感、すなわち“サウダージ”に満ちあふれている。これは全編を通して流れるボサノバが作り出しているのだろう。う〜ん、いいねぇ、ボサノバは。
  2.  アメリカでも布団はフトン。知ってはいたが、本当に発音してるのを聞いたのははじめて。

お話
★★★★

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