(制作:ピクサー)
ご近所の大冒険
良質な子ども映画は大人にも十分に楽しめる。もっとも実のところ“こども”と“おとな”の境などは本当はない。あるのはいい映画とよくない映画だけだ。
アニメだからといって、手を抜いていない。登場人物の心の動きや展開上の伏線など細かいところまで目が届いている。ありがち話なネタでお茶をにごしていない。定番的な話ではあるが、これは友情と存在意義(それもおもちゃという視点を貫いている)という普遍的な物語であるからだ。
友情、おもちゃとしてのアイデンティティ、脇役キャラの苦悩、などいろんな要素がバランスよく展開されてあっというまの90分。過不足なく、なおかつ余裕あるストーリーテリングに泣けることしきり。
CGアニメではある。しかしCGは表現のひとつの手段でしかなく、結局は語られる内容それこそが大切なのだ。が、CGだからこそできる話というものもある。例えばそれは『おもちゃが主人公の物語』であり、方法と目的が一致した幸せなケースともいえるだろう(オレ、変に堅苦しく考え過ぎ?)。
はじめはCGの質感に、どこか不自然なものを感じたのだが、目が慣れてくるとそれが素材の違いをきちんと表現しており、それがキャクターや背景との質感の違和感につながっていることに気づいた。納得。
ただ、生物の、特に人間の質感表現はリアルではない。これも違和感の元だったりするが、実際もっとリアルにすることも当然できたはずで、どうもそれはあえて避けたみたいだ。マンガ映画というスタンスからすれば必要以上にリアルに逸脱する必要がないということなのだろう。
もちろん話が進むにつれ、そんなことは気にならなくなっていく。
とにかく楽しくて笑えてじんわりホロリとくるコメディの王道である。“パート2もの”だけど“1”観てなくても(未観なのだ)十分に面白いというのはいい、作品の証拠でしょう。