(監督:本広克行)
向かうは宇宙、進め! 銀河の果てまで。
勿体ない。いろいろといいところもあるのに全体のバランスが悪くて、結局収まりの悪さだけが残ってしまった。
選択すればする程、どんどん悪い方向に転がっていくシチュエーチョン。次々と起こるてんやわんやのトラブルに翻弄され、テンパったぎりぎりの状況の中で、それぞれの自分の価値を見い出していく。笑ってそして最後にはホロリ。そんなコメディの王道を想像していたのだ。ところが。
コントである。シチュエーションコメディではない。その違いは複線のはり方、使い方にある。どういうことかというと、ストーリーを展開するための伏線ではなく、次の笑いへの前ふりでしかないということだ。
もちろんそれはそれでいいのだ。それが生かされる演出ならば。例えば、スピーディーにたたみかけるようなギャグの連べ打ちみたいだったら腹抱えて楽しめたはずだ。
ところがその割りきりかたが中途半端で、ドラマ(シリアス)な部分が入り込み過ぎ。全体のムードはコメディなのに、へんに情に訴える人間劇が混ざってきたりする。ゆえにギャグが死んでしまう。もっと突き抜けたところがほしかった。
一番気に入らないのは、結末のつけかた。これは好き嫌いの範疇なのかも知れないが、オレにはダメだった。まあ、元ネタ(狼たちの午後)のまんまなんだけれど。
あの手の“なきの入った男の生きざま的オチ”は10年程前のコントによく用いられた方法論なのだが、ちょっとありきたりすぎだし、第一、救いがなくて後味が悪すぎ。虚しさだけが残るのだった。期待されるものは、あっと驚く驚天動地起死回生逆転ホームラン的な展開で、誰もがハッピーエンドを迎えることではなかったのか。
やっぱスカッと日頃の憂さを晴らすような愉快で爽快な話であってほしかったなぁ。