(監督/脚本/制作:ビル・ベネット)
血の雨降って地固まる。
インデペンデントでインディーズな匂いがぷんぷんするロードムービー。
それはBGMが一切なく、また突き放した語り口で、必要以上に観る側の気持ちを盛り上げようとするサービス精神がないせいなのだろう。
ちょっとした事故(過失殺人が事故かどうかは別として)から、逃避行を余儀なくされる若い二人。刹那的であるが故に立場を悪化させていき、どんどん自分たちを追いつめていく。
いろいろな誤解や運命によって、より立場は悪化していき、最後は捕まってしまうわけだが、その結末がよくあるパターンの“死しか逃げ場がない”という最悪の選択をとってしまうような典型的かつ安易な幕切れにならなかったことにはとても好印象を受けた。もっとも罪を問われることもなく、なんとなく落ち着いて「オレも若い頃はワルだったんだよなぁ」みたいなエンディングもどうかとは思うが。それは主人公に感情移入できるような話ではないため、そこまでしてやる必要はないんじゃないかなと思ってしまったからでもある。
が、まあ、凡庸なバッドエンドではないということこそを注目すべきなんだろう。
話も犯人は誰かという問題に表面的な解答を与えているが、ラストの主人公が語る独白は思わせぶりで、実はもっと違う真相が隠されているような終わりかたも面白い。結局そもそもの事件の原因、モーテルのオーナー、ヒッピーの夫婦、それぞれの死の犯人はやっぱり別なのではと思わせるオチも余韻となって体に残る。
ただ全体的にはやはり地味で、面白いというほどではないなとも思った。