(監督:マイク・ニューウェル/脚本:グレン&レス・チャールズ)
同僚の女房と寝ちゃいけない。そりゃそーだよなぁ。
文句なし。面白し。
冒頭、NYの空を行き交う飛行機。一見何気ない絵である。しかしオレはなぜかその時点ではまっていた。なぜか? よくわからない。実はわからなくてもいい。面白いというその気持ちだけでいいのだ。
『航空管制官』という、いままで誰かがとりあげてそうで見たことのない、極度の緊張を強いられる仕事と、そこで働く才能あふれるイカレた連中の日常風景が、とにかく新鮮である。自分たちの判断に何百人という命がかかっているのだ。最前線なのである。面白くないわけがない。
そんな危険と隣り合わせの毎日であるのにも関わらず、全編を漂うユーモア感覚。そのおかげで話が重くならず、かといって軽薄にもならず、本来緊張感あふれる仕事であることを逆に際だたせる。
ストーリーだけをみると実はすごくオーソドックスで、トップだった男にライバルが訪れたせいで、生活自体がギクシャクし出し、ちょっとした火遊びから疑心暗鬼にとらわれ、仲のよい夫婦に危機が訪れ、そして結末。
そんな話を、設定の上手さと切れ味のいい演出、ノリノリの役者陣でバランスよく見事に仕上げているのだ。前宣伝では航空サスペンスみたいな書かれかたをされていたし、確かに爆弾騒ぎなどもあるわけだけれども、語りたいことはあくまでも奇妙な(?)日常であり、それは成功している。オレとしてもそういう映画であってよかったと本当にそう思う。
要所要所に入るトラコン計器の3D化したSFXも、そこはかとない眼福スパイスとして効いており、とにかくオレツボ。まあ、クライマックスにちょいと甘い部分もあるのだけれど、それは些細なこと。お勧めだ。
飛行機の後方気流で吹っ飛ぶシーン。SFXとはわかっているんだけれど、その間抜けな感じが笑える。てゆーかオレもやってみたい。でも命のほうが大事かな、やっぱ。