(監督:ルパート・ウェインライト)
信仰なんてどーでもいい。
ようするに憑依モノだ。実はえらく古典的怪異話なのだ。
ただ、面白いと思ったのはとりつくのが悪霊じゃなくて聖人の霊で、逆にエクソシスト側が悪い奴という点。でも取り憑かれた者にとってみれば、それが“いいひと”だろうと“わるいひと”だろうとあんまり関係ないみたいね。どっちにしろいい迷惑なのは変わらないから。
前半、理由不明に起こる聖痕現象が、バチカンから来た奇跡判定士(?)により原因とその目的がはっきりしていく。その理由がバチカン内部の陰謀(組織の保身というありふれた内容だが)というのは、少々、いや、かなりステレオタイプではある。結末もありきたりだがとりあえず予想されうるべき落ち着きどころにきちんと収まった感じ。が、一連の話の流れは理路整然としていて破綻がないのでそれなりに好感は持てる。そもそも超自然ネタはオレが好む題材なのだ。だからよかった。といえればいいんだけれどね…
なぜ? あまり悪いところがないようにも思えるのにもかかわらず、てんでノレなかった、面白くなかったということはどういうことだ?
それはたぶんオレが、自分の思考を停止ていしまう宗教、特に一神教に対して拒否反応を持っているせい。嫌いなんだよね。宗教が、ではない。宗教を信じる人たちがだ。その原因なんかをいちいち説明するのはめんどくさいのでパスするが、とりあえず一言で言い表すと、自分たちの手で作り出した共同幻想によって逆に支配されてしまい、それをよしとしてしまう、無責任さが嫌いなんだ。
というわけで、わりと冷めた目で観てしまったわけ。そうなるとあらばかりがみえちゃてどうにもいけません。ヘンに宗教者と都市生活者の対比でリアルを感じさせようとするあざとさや、狙いすぎのMTV風映像や、目につくんだな。もっと素直に撮ればいいのに。はったりばかりが目立って怖さがない。もっとも別に怖い映画を撮ろうとしていないみたいだからいいのか。
奇跡は信仰する者にのみ訪れるという発想は間違ってる。だって、信仰の深い者に起こる現象は、単に信仰というハイな精神状態が身体に症状として現れてしまっただけかもしれないわけで、信仰心がなくても生じるもののほうこそが、より奇跡に近いと思うのだが。