(監督/脚本:キム・ジウン)
山荘にいらっしゃい。
ブラックなテイストのコメディだね。
山荘を経営するテンパった家族が自殺者の対処に誤ったばかりに雪崩式にまきおこるトラブル。てなスラップスティックなコメディである。
はじめはビクつきながらの犯行だったのが、だんだん殺人や死体処理に慣れていき、しまいには夕食の楽しい話題になっていってしまう異常な状況の生み出す面白みなど、基本のツボはおさえらている。エッチなサービス(?)シーンの挿入もベタギャグ艶笑譯的にはまっている。
ただ、全体的にちょっとテンポが悪く、またバカ度が地味というかイマイチ大人しいというか。あと一歩突き抜けられれば最高だったのに、と思うのだった。例えば、クライマックスでも、せっかくどしゃ降りの深夜というあざとらしいまでの舞台設定の中、暗殺者と警察官が取り違えられるというもっと“いじれる”シチュエーションだというのに、なんともあっさりと終わらせてしまう。標的となる女性と老人を簡単に逃がさず暗殺者と警察官のやりとりをスラップスティック的に持っていくことで、ドタバタ感がもっと出せたはずだし、さらに話だけ登場する北朝鮮の逃亡兵なんかもここに乱入してくれば、もっととんでもない騒ぎ&オバカなカタストロフィになって大爆笑できたのではないかと思う。
ラストもちょっとあやふやなままなのが寸止め気分。“彼らはまだそこにいるのです”的なオチは王道なのでオーケーだが、それが「なんだかんだいって秘密は守られ、恐怖の山荘(笑い)はまだ営業中です」ということなのか「悪事は露見し、彼らは山荘の地下に潜伏中」みたいなオチなのかもう少しわかりやすいとすっきりと劇場を出ることができたのに。
ま、でもそこそこに楽しめたのでいいか。