(監督:ウィリアム・マローン)
隣のタッタリ、タ・タ〜リ
定番メニューの定食はどの店で食べても大きくはずさないかわり、大当たりもまれ。そんな感じ。圧倒的につまらないわけでもないが、さりとて観終わって満足したとも言い難い。
『お化け屋敷』がテーマだと、どう料理しても結局、過去の作品群と大同小異の仕上がりになってしまうのだろうか? 些末なバリエーションは増えても“悪霊が巣くう家に閉じ込められた人々がいかに生き延びるか、あるいはいかに殺されていくのか”。これに集約され、意外性はほとんどといってない。新味を出すのは困難でどれも似たり寄ったりになってしまう。
しかたがない。『お化け屋敷モチーフ』とはそれ自体がテーマでありアイディアでありストーリーである。のかも。
(もしかしたらオレの肌にあわないだけかしら)
悪趣味な遊園地デザイナーの演出した仕掛けとモノホンの悪霊の霊障の交錯というところが新鮮味といえばいえる。が、そのアイディアを活かしきれていない。主導権を悪霊サイドに簡単にわたしてしまい、人々はそのあとはただ右往左往するのみ。もと別の展開もできると思うのに。
例えば、悪霊がどんなに頑張っても誰も「これも演出だろ」とモノホンの仕業とは信じない顴骨堕胎的手法、あるいはハイテクの仕掛けが最後に悪霊の裏をかいて大逆転というようなカタルシス的演出。そういうアレンジもできたはずだ。確かにそれはお化け屋敷というテーマを活かすのではなく、おちょくっている方法論なのかもしれないが、そのくらいやらないとあまりにも平凡な話で終わってしまうのでは。
とにかく、もうSFXだけで楽しめる時代なんか終わっているのだから、最新の技術で幽霊映画をリメイク程度じゃダメだと思うのであった。