CHART-DATE : (2000/08)
作品
雪中
… ホワイトアウト

(監督:若松節朗)


お話

 娘さんよく聞〜けよ、山男にゃ〜惚〜れ〜るなよ〜


お話

 予想した以上に面白かった。
 とりあえずアラやツッコミどころもいろいろあるのだが、それはさておきサスペンスアクションとして楽しめたのだから、あえて文句をつけることはないだろう。

 邦画でこれだけのスケール感のある作品がみられるとは思ってもいなかったのであった。あ、ここでいうスケール感とは「大上段に振りかぶった高尚なテーマ」とか「数世代にわたる大歴史絵巻」というような概念的なもんではなくて“舞台は自然”的文字どおりのスケール感である(説明わかりにくい? わかるよね?)。もちろん生の大自然を舞台にしてるんだから臨場感があって当たり前と思うでしょ。それが違うんだよ。日本なんて所詮は狭い島国で見渡す限りの大自然が舞台、なんて無理とはいわないけれどかなり厳しい条件なわけだ。だからといって海外に舞台を求めるとそれはそれで胡散臭くなってしまう。
 で、この映画ではどのようにしたか。自然をそのままドーンとみせないという逆説的手法。自然の一部を切りとってそこだけをみせる。へたにドーンと俯瞰でとると何かしら視界に制限(人工物)が入ってしまう。だから極力ロングはなしにして、アップ優先。どのみち外は吹雪、アップ主体でわざとらしさはない。それがロングのシーンを印象づけることにもなるというわけだ。

 話のほうは、ことの他、単純で一直線である。これを深みがないと思う人もいるかもしれない。それも人それぞれだが、冬の雪山という自然そのものの恐怖を軸とする話には相応しいとオレは思った。
 ま、実のところ、テロリスト(?)側のモチベーションがよくわからないというのは難点。テロが目的なのか金目当てなのかはたまた他に目的があるのか、クライマックス近くになるまで今ひとつ見にくい。おかげでどんでん返しも謎の解明も、そのインパクトが薄く弱くなってしまった点は否めない。

 でもいい。それを補ってあまりあるものこれは味わったんだから。


お話
  1.  佐藤浩市のドレッドヘア(?)が思いきり浮いている。へんだ。
  2.  石黒賢。ちょっとだけしか出てこないけれどいかにも山男然とした風体がいいね。
  3.  富樫が地元警察に状況を説明するシーンで「敵を倒しました」ではなくて「殺しました」というくだりが好きだ。つまり主人公富樫はたんに血の気の多い山男ではない。自分が何をしたのかをきちんと理解している男であるということを表現しているからだ。
  4.  この手の話で必ず登場する、一見さえないが主人公の頼りになるバディ役。ここでは署長なのだろうが、ちょっと扱いが弱いかな。もっと活躍してほしかった。

お話
★★★★

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