(監督:ジェラール・クラヴジック/製作・脚本:リュック・ベッソン)
ここにきて、このシリーズが馬鹿コメディーであることがはっきりした。カーアクションが主役ではない。それはあくまでもエッセンスで、やりたかったことはかなりスワップスティックなドタバタ刑事コメディーなのである。だから(前作もそうだが)スリリングなカーアクションを期待すると外される。それを承知で気張らずに気楽に観に行くことをお勧めする。
リュック・ベッソンも、あえて狙いすました確信犯的な、ベタな日本人をネタに悪乗りしまくった話を作ってきている。ただ典型的なゲイシャフジヤマではなく、現在のというのがミソといえばミソか? ひとつひとつのネタをあげつらっても意味がないので省くが、フランス人受けする日本人観がわかって興味深くもある。
また前作に引き続きの繰り返しギャグも随所に散りばめられておりシチュエーションコメディーでもある。
(先に言ってることと矛盾するかもしれないけれど)だからといってカーアクションがダメというわけではない。冒頭のラリーシーン、のっけから車目線で峠をガンガン攻めまくり、ジェットコースター感覚で酔いまくり。街中のチェイスもコマ落とし撮影などで細工していないわけではないみたいなのだが、しかし空撮を見ればわかるとおり、他の車と数十センチぐらいしか隙間のないなかをスルスルとすり抜けていくのだ。これって、ゆっくり運転でも難しいんじゃない? やっぱり凄いわ。
もとより、羽根つけて空を飛ぼうなんつー発想からして、リアルカースタントを目指していないのはわかる。だから戦車が登場してもパトカーの大クラッシュもギャグ的で大笑いできる。
ちゅーわけで、より馬鹿度がアップしたノリのいい映画である。