CHART-DATE : (2000/11)
作品
Amaging Story in JAPAN
… 世にも奇妙な物語 映画の特別編

(ストーリーテラー:タモリ)


お話

 チャララララ・チャララララ・チャラララ・ラッラッ・チャララララ…
 ニャ〜ン


お話

 TV版も別にそれほど真剣に観ていたわけではないのだけれど、お馴染みのあのテーマを聞くと、やっぱり「うーん、来た来た」って感じ。

 オムニバス映画の一番の見どころ。それは短い時間でいかに話を語りきるかにある。3,40分の短編にはそれにあったサイズのストーリーが必要で、これを間違えると中途半端であったり、冗長になったりする。登場人物の設定や背景、感情面などを丁寧に描く時間がないので、話に深みを与えることが難しい。いきおい、話自体の面白さが重要となる。
 面白いアイディアをいかにコンパクトに話をまとめあげるか。これがオムニバスの真骨頂である。その点において「世にも…」はとてもうまくまとまっていたのではないだろうか。

 なにより、“奇妙”というタイトルにふさわしい、いわゆるホラーでもサスペンスでもミステリーでもない、まさに“奇妙”な話であるところが嬉しい。同業他社がホラーやオカルトな話に逃げていく傾向の中、また「世にも…」自体、ホラーになってしまう部分もないわけではないのだが、この映画に関していえば、(はじめからホラーにする意図で撮られた『雪山』を除いて)本当に奇妙な話として描ききっている。
 要するに“奇妙”とは“ショートショートの妙”という言葉で説明できてしまうのだが、映画としてそれができているというのはかなり珍しいというわけ。

 全体に、十周年という記念の理由もあるのだろうが、TVよりも丁寧かつ気合いの入ったつくりになっているような気がする。このレベルの話が観られるのであるならば、年1回ぐらいでいいので、今後はシリーズをTVではなく映画で続けてもらえるとオレは嬉しい。


お話
  1. 「雪山」
     ホラーとしては定番で、あまり怖いという程の話でもない。オチも定番的なのだが、もとより登場人物の顔が衰弱していく演出で、「ああ、皆、幻を見るわけね」という展開が簡単に分かる。で、決められたオチに向けて疾走する恐怖を楽しむ、と。ラストの俯瞰で「ああやっぱり」ということが分かるのだが、その絵がとても寒々しくうまくはまっていた。
  2. 「携帯忠臣蔵」
     昼行灯という内蔵助像は、ある意味お約束的イメージなのだが、仇討ちをせざるを得なくなっていく転がり加減がよい。中井貴一がすごく楽しそうにやっているのが印象に残る。特に布団に潜りこんでいくところが。ラストの大部屋の俯瞰の映像が圧巻。
  3. 「チェス」
     凝りまくったカメラワークやあざといまでの早送り演出などの星護らしさがあまり感じられなかったのは残念だが、それでもチェス妄想(?)のビジュアルセンスが面白い。悪夢的幻想妄想というか。実はこの予告を見ていくつもりになったのだが、その部分では裏切られることはなかった。ただ、話自体はあまりにもハッピーエンドな落としどころでそれは違うんじゃないかな? と思った。
  4. 「結婚シミュレーション」
     甘いラヴストーリーでハッピーエンドぽいけど、実はひどい話なんじゃないのか? あれは、危険だよ。現実と虚構の区別がつかなくなるんじゃないのか? 精神的な障害が残っちゃうと思うぞ。もっともそれもコミで奇妙な話なのかね。
     あと、シュミレーションっていうな!
  5. 「アーバン」
     もっとダークなオチがつくのかと思ったが、実はストーリーテラー自身が恐怖を味わうというオチだったとは予想もつかなかった。もっともったいない気がするが、これはこれで「なるほど、意表はつかれた」とは思った。
  6.  パンフがそれぞれの話ごとにバラで販売という形式は面白いね。といってもたぶんほとんどの観客は全部買うんだろうけれど、価格的にも暴利じゃないのでオッケーだ。

お話
★★★★

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