CHART-DATE : (2000/11)
作品
なにか話して…
… カル

(監督:チャン・ユニョン)


お話

 パズル・ボディ。見つからなかったワンピース。


お話

 韓国映画、しかも連続殺人事件という話ならば、どうしても血糊べったりな絵面になってしまうことを予想していたのだけれど、意外にもおとなしめにまとめられていたのが印象的だった。もちろん出るところはドバッといくのだが、しかしそれが生々しさエグさにならないのだ。
 これは作品全体に流れるムードがなせる技であると思う。
 映像は湿気の漂うダークな雰囲気が全体的に一本スジとして通っていて、気分がそがれる隙をつくらない。

 最後の最後まで二転三転する犯人像。もちろん可能性としては想像の範囲内であり、話が進むにつれてどんどんしぼられていくのだが、それにしてもぎりぎりまで確定できず不安感を持続させる。これはと思わせておいて実はという変化がうまく「そうか、そうくるか」的快感である。
 結局、怨恨なのではなく快楽殺人であったというのも、ストーカー的犯人像が実はドロドロとした人間関係のもつれであったという最近ありがちな話の逆説的な展開が新鮮といえば新鮮であった。

 限りなく省略されたストーリーテリング。フーダニットとしてのミステリーではあるが、それを主軸にした演出ではなく、登場人物がどう行動したのかをメインにすえ、謎とき自体は観客が勝手に(?)考えてくれればいいのだという割り切りかたで造られている。ラストにおいて真犯人が明かされるが、それ自体は事件としての結末ではなく、観客に対する答えでしかない。映画で描くのはあくまでも現象で経過である、というのが潔い。だからといって役者の感情の動きまで切り捨てられているのではなく、それは言葉ではなくしぐさで見せる押さえた演出で雰囲気を高めており、そう考えるとこれはミステリーでありながらミステリーの文法を前面に出さないからこその映画であるといえよう。


お話
  1.  ネット上では裏読みが盛んらしい。そういう楽しみ方を別に否定はしないけれど、でも重箱の隅をつついて遊ぶのはオレはあまり好きじゃないのさ。本来的な楽しみ方ではないような気がしてね。
  2.  シム・ウナ。儚げなのにミステリアス。演技の引き出しの多さに驚かされる。

お話
★★★★

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