(監督:ロバート・ゼメキス)
君が嘘をついた〜
本格サスペンスというからには、もっとハラハラドキドキする心理戦的に満ち満ちた話なんだろうだと思っていた。が! とても気怠い演出のテンポ、緩慢なストーリー展開で、どうにもこうにも観ていて話に入り込めない。その遅さはおそらくじんわりと描くことで恐怖感を高め醸し出そうという考えなのだろうが、それが裏目に出た感じ。
確かにひたひたと迫ってくる不安感や圧迫感はある。しかしその思わせぶりが実は… というどんでん返しがあってこそのサスペンスなのではなかろうかと思うわけだ。が、その幽霊騒動が本当に単なる幽霊だったというのは、ちょっと卑怯ではないだろうか。ある意味裏をかかれたともいえるけれど、“ベタ(安直)すぎるぜ”という感は否めない。サスペンスを基調とするのであれば、誰が罠を仕掛けて、何のために騙そうとしたのか、そしてその結末はどうなるのかという、考え抜かれた話を見せてほしかった。
不安感をあおる方法論として、飛び出し系、大きな音系で、処理するのもどうか。小手先のオドカシは安易。確かにビックリはするけれど、ビックリと怖さは別モノだろうと思うのだが。そういう意味でちらりちらりと浮かぶ女性の影の表現は上手いなとは思った。
とにかく。幽霊なのか違うのか、またそれが誰なのかという思わせぶりはいい。その結果、幽霊もまた狂言回しの役割でしかなく、一番怖いのは欲に駆られた男であったというのもそれはそれでいい。いいのだけれど、でもそれだけのネタであれだけの長時間を引っ張るような話ではないと思う。とにかく冗長、これにつきる。