(監督:惜しい… でもないか、守)
・繋がったマーブルを一度に1〜3個動かすことができる。
・2〜3個のマーブルを動かすときには同じ方向に動かすこと。
・自マーブル数が相手マーブルより多いときは相手マーブルを押すことができる。
・勝利条件は相手マーブルを6個、ゲーム盤の外に押し出すこと。
・アバロン間違いか…
つまらないわけではないが、いかんせんテーマが中途半端に古くさい。ゲームの中に入り込んだ人格、仮想現実とくれば、ようするに“胡蝶の夢”パターンであり、デジタルゲームが現れて以降、爆発的に増えた誰もが考えるアイディア、テーマであり、すでに手垢がつきすぎていて、いまさらという感が強い。
現実と仮想現実のあいだに実は違いはない。リアルとは最終的には主観的な問題でしかなく、どちらが善か悪かという問題とは本質的に違う。ゆえに“勝利”や“達成”などという映画的カタルシスとは実は相容れない“自覚”という結論に帰結し、結果、ヘンに哲学的なエンディングにならざるを得ない。もちろんそれがいけないというのではない。ただ、作品全体のトーンが戦闘RPGなものでオチがオチてないという、卑怯な(?)逃げで終わらせてるのは「もうそういうのはいいんじゃないの?」ということだ。
それは押井(オリジナルの)作品のいつものパターンでもある。押井という作家は相変わらず“虚構と現実に翻弄され続ける迷い戸惑い”パターンなのであった。でもそのテーマはもう世間的には“終わってる”んじゃないでしょうか。少なくともオレにとっては10年前なのだ。
てなわけで、「ああ、いつも現実の速度から一歩遅れた人だな」と感じてしまうのだが、しかし今回は「なにが正しいのかということはない、リアルな現実である必要はない」というそこまで結論をいえるだけ腹をくくったという意味においては、多少なりとも成長しているかしらとは思えた。
とはいえ、けして退屈な映画であったというわけではなく、SFX系眼福映画としてはそれなりに楽しむことはできた。色調を落として全編に漂う幻想的なムードもよろしげだし、それがクライマックスの鮮やかな世界との対比もうまくはまっている。
でもやっぱり、だからといって今これを撮るの? という疑問は残るのであった。