(監督:ナンシー・メイヤーズ)
女心は… やっぱわからないほうがいいのかもね…
小洒落た大人の(?)ラブコメディ。お調子モノのサイテー男が紆余曲折を経て一皮むけるという、ようするに“よくある話”なのだけれど、あれもこれもと詰め込まず常に主人公ニックを中心に話を進め、視点/人称がふらつかないように注意することで、焦点がぼけずスマートな展開になっている。
もっともそのせいで相手役ダーシーのキャラ設定が、誠実なのか、やり手のいけすかない上司なのかがはっきり見えてこない。本来ならば、はじめはなんだこいつと思わせておいて少しずつ本心が見え隠れしだしいつの間にか… という(お約束ではあるが)展開が期待されているのだが、そこらへんの進め方がややわかりにくい。もったいことだ。だってそういう感情の展開こそ主人公が本当の愛(ププププ)に目覚めるきっかけに繋がるものだからね。
それと、“女心がわかる”力という設定をもっとふんだんに活かしたエピソードをみせて欲しかった。思考の女性化していくシークエンスがあるのだからそこからさらに発展させて、女性化することで世間で失敗をやらかしたり、危機を脱出したりという展開がもう少々あってもよかったように思う。
ま、そんな重箱の隅をつつくような作品じゃないんだよな。ミュージカル映画へのちょっとしたオマージュにワクワクし、小粋なくせにもどかしいふたりにヤキモキし、そんなこんなであっという間の2時間を楽しめばいいんだ。