(監督/脚本:テレンス・グロス)
長期療養滞在型ホテルかぁ、優雅だよね…
デカダンでゴシックな雰囲気はいいが、でもそれだけ?みたいな。
内容的にはシニカルでブラックでオフビート(?)なコメディなんだろうけれど、爆笑する手合いのものではない。いろいろとくすぐられる部分はあるのだけれど、今ひとつツボをつかないのだ。
(一番笑えたのは『排泄物→メタン発生』というえげつない装置)
ま、もともとそういうずれたところを楽しむようにできているのだから許す。
話としては、とある人里離れた不可思議なホテルで繰り広げられる怪しくも悲しい人間関係。料理番のふたりの恋の顛末や、エスティシャンの長女の悲恋などを絡めつつ、最後に母親の呪縛から逃れ、あるいはさらに己の業を増して、ホテルは崩壊/再生する。というような感じの話なのだが、だからそれがどうしたという感じだし。
とりあえず摂食行為と排泄行為が話の根幹にあって、それはつまりそのふたつが“生”の基本だということに他ならない。で、そのふたつに常にエロティックな香りがつきまとっているということは、ようするに“エロティックであること”イコール“生”であるということである(事実だけれど詭弁)。
なんだかんだいって、ようするに雰囲気を楽しむ映画としかいえない。ま、適度にエロティックだし適度にストイックだし、煎じ詰めれば『英国映画』なんだなぁと思うのであった。