(監督:ディーン・パリソット)
宇宙、それは人類に残された最後の…
ハウハウハウ(“彼ら”の喜びかた)
もっと狭いネタでヲタクなチャカシ笑いをねらったニッチな、バカバカしいスラップスティック映画と思ったら意外と正統派。かなり本気。ドラマ的にしっかりと作りこんであり、観ていてどんどん引き込まれていく。でもバカだけど。
元ネタ、というか対象となっている、スタトレ変遷史を知っていてもいなくても、きちんとわかるようになっているのだ。もちろんわかっていればなお楽しいのはいうまでもない。
(もっともアメリカではスタトレ的なTV番組というのは、観ていても観ていなくても「あの手のジャンル」という共通認識ができているのかもしれないけれど)
脚本がうまくできているなぁと思ったのだった。マニアックなくすぐりを散りばめつつ、通信機やヲタク少年とのやりとり、オメガ13といった(定番的ながら)きちんとはまるべきところにはまる伏線が見事に機能している。
SFドラマをドキュメンタリーと勘違いされたことから始まる雪だるま式な宇宙規模の大騒動という、いかしたバカアイディアだけに頼るだけではなく、きっちりと考え抜かれている。そうなのだ、バカ映画こそ頭脳を結集しなければいけない。
例えば、話の流れでカー… じゃなくて、ピカー… じゃなくて、タガート艦長が、もっととまどいや状況を利用してやろうというような売れない役者的なエピソードが割愛されて、いきなりやる気のあるヒトになってしまうのはちょっと性急過ぎるかとも思った。ドクターラザラスやマディソン少佐のエピソードももう少し丁寧であってもよかった気もする(チェン技術主任はいきなりキャラがたってたけど)。
それにクリンゴ… じゃくて、サリスが1隻だけなのも「え? 意外と非力な戦力なのか?」みたいな印象がでてしまってもいる。まあ大艦隊にでてこられても話の収集に困ってしまうのだが。
ま、そんなこんなは贅沢すぎる要求だろう。総じて不満というものはないのである。結局はバカでお気楽に楽しめる映画なんだから。
しかし、地球じゃ大騒ぎになってしかるべきだよな。明らかな異星人の文明が現れたんだからね。映画版とか作ってる余裕なんかないんじゃないでしょうか? あ!そうか、今度こそ本当にドキュメンタリー映画なんだ!