(監督:トロイ・ダフィー)
勝てば官軍か? それでいいのか?
全然ダメ。面白くもなんともない。話はずさんだし、映像的な魅力もなし。観終わってグッタリしただけだった。
とにかく話がつまらないのが致命的なのだ。
「法が裁けない悪を正す」という“必殺”的アイディアは、古典的で新鮮味には欠けるが、しかしまだいろいろな味つけの余地はあるはず。しかしこの映画には人を惹きつけるために頭を使ったと思わせるところがまったくない。主人公ふたりの“悪を正す”行動は、行き当たりばったりで表層的。標的のセレクションも成り行き任せで、壮快感もカタルシスもなにもない。イリーガルな行動に正義を感じさせようと思うなら観る者の共感を得る努力がないとダメでしょ。
話題の暴力描写も別にさほどのことはない。(それがいいことだとは思っているわけではないが)今じゃあの程度は普通ではなかろうか。むしろ登場人物への感情移入ができない分だけ、痛みもなく、空気のように通り過ぎていってしまう。
ラストはドキュメンタリー風インタビューで幕を綴じる。
逆算推測すると、電波系で狂信的な過激派の暴走を“そっち側にいっちゃった人”サイドから描いたという制作意図もあったのかもしれない。「電波な人達にも彼等なりの理路整然とした(?)理由がある。貴方はそれに納得できますか?」というようなことだ。でも、それが明らかに(?)なるラストクレジットまで、とりあえず普通のヒトのように描かれているので、そのメッセージ(?)は最後の最後までわからない。それじゃダメじゃん。
将来有望な若手男優を楽しむ趣味がある人なら楽しいのかもしれないが、オレはねぇ…
とりあえず、ホモで女装のFBI役ウィリアム・デフォーは思いきりぶっ壊れていて面白かったとだけ付け加えておこう。