(監督:古沢憲吾)
さー、いっちょ、ブァ〜っといきましょう!
TVやビデオなどではすでに何回か観ているわけだが、劇場できちんと観るのははじめて。だから、まあ話の展開がわかっている上での楽しみであり、それはある意味で古典芸能を観る楽しみに近いのかも知れない。もちろん『無責任シリーズ』自体が古典であるわけだから、当然といえば当然か。
今回あらためて思ったのは、音楽とギャグが散りばめられたラブ&ピースでハッピーなコメディという点において基本的に60年代ハリウッドコメディを踏襲しているのだなぁということ。そして都会派のオシャレコメディであるということか。
今観れば確かにテンポも鈍いし、悪人レスで実に牧歌的、古臭いのは否めないわけだが、当時においては時代の先端をいくバリバリなサラリーマン社会を舞台にしているわけだし、そんな中をスィ〜ッといくカッコ好さを前面に描いている。
しかし、無責任でC調でお気楽というわりには、結構いろいろと策を練り頑張ってるんだよね(努力ではない)。一歩間違えれば詐欺。ちゅーか、まんま詐欺師なんだけど、なんとなくすべてが丸く収まってしまえば、とりあえずまいっか的な気分が前提にあって、ゆえに登場人物みんな結構アバウト。それでも社長になっちゃうんだから、そしてそれがありうる社会であることが、現在のシステマティックな社会構造が失った活力であるとうな気がする。当時はアメリカンドリームならぬトーキョードリームみたいなものがまだあったんだなぁと思うと羨ましくもある。
とりあえず観ていてモーレツに面白いというわけではないのだけれど、そこに厳然として存在する情景はオレにとっての理想でもあり、だからこそいつ観て飽きることがないというわけだ。