CHART-DATE : (2001/04)
作品
からっぽ男
… インビジブル

(監督:ポール・バーホーベン)


お話

  動く人体模型状態展示会。プラスティネーションもびっくり。


お話

 SFXが見どころ。というかそれだけ。今更ながらだが、ホントCGというのは魔法だなぁと思うのであった。

 お話はとっても単純。透明人間の悲劇というステレオタイプなストーリーそのまま。もっとも透明人間テーマはあまりにもいじくりにくい設定なので、真面目に“透明人間の話”とやろうとすると斬新な話は作りづらいのかなぁとも思う。
 一応、新鮮だったのは、透明になる技術はすでに完成されていて、そこから状態を復元させる方法を求めているという設定。話の展開上、一番面倒な透明化完成に至る段取り説明をパスできるメリットもあるし、可逆性を確保できてはじめて科学技術として完成というリアリティも加味される(もっともリアリティがあるのはここまでで、透明化理論はてんで言い訳っぽかった。別にいいんですけれど)。

 透明であることをSFXでリアルにみせるマイナス点、というか錯覚をしてしまいがちなのは、筋肉むきだし内蔵モロみえ状態であっても、それは表皮が透明なだけで身体は全てきちんと確かにあるにもかかわらず、なまじSFXがリアルなだけにどうしても「筋肉人間、骨格人間」に思えてしまうこと。
 実のところ、映像をよく見れば、内臓だけのときでも、その上に手を置いたときは内蔵部分から微妙に離れているのがわかる。つまりそのあいだにはきちんと身体がつまっているということを表現はしてはいるのだ、作り手側は。でも、そこまできちんと表現しても観る側はそこまで意識することはなかなか難しい。
 つまり、ビジュアルインパクトとしては確かに素晴らしいかもしれないが、こと“透明人間”という対象を表現するという意味においては、微妙に違う結果になっているのではなかろうかという気がする。

 一応、透明化することで狂暴になっていく天才科学者という設定が骨子らしいが、オレはあまりそういうふうにはみなかった。ああいった状況ではまあ仕方のない結果、要するに自暴自棄になっただけで、そこに自分が見えない存在というのが加味されちゃえば、リミッターが切れても当然だろうという感じ。それをもって「狂暴になった」というならそのとおりなのだが、透明化による化学的薬理的な作用ということではないと感じた。
 いずれにせよ、前と後とのギャップが中心をなすのであるならば、「透明人間」というテーマは「ジキルとハイド」的な展開を余儀なくされるのだなぁと思うのであった。

 総じて。かなり大雑把でステレオタイプな話であることには変わりなく、話が転がっていく楽しさには程遠いというのが正直な印象であった。結局、透明人間になったからといって、やることはさほどかわらんということか。


お話

 もっとエロティックになるのかと思ったら、なんのことはないお上品な仕上がりにガッカリ。もっとアブノーマルギリギリのすんごいもの(要するに大金かけたアダルトともいうくらいの)を想像していただけにちょっとだけガッカリ。


お話
★★★ ☆☆

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