(監督:中野裕之)
赤影参上!
いやぁ、なんといっていいものやら、これは本当に観る者を選ぶ映画だ。印象は単館系カルト、でもってポジティブバカ、好き嫌いがはっきりでるタイプだ。
なまじ『赤影』というブランドネーム(?)なだけに観客としては無国籍特撮冒険活劇を期待して観に行くはず。だとしたらかなりつらい。これはまったく別物の映画に仕上がっているからだ。あえて同じところを探すとすれば“全体を包むハッピーな雰囲気”だけ。いや、それすらこじつけっぽいか。
とにかく、そんなわけで「仮面の忍者赤影」が観たかった観客は100%腰が抜けることになる、世間的にはおそらく失敗作といわれるであろうこの映画だが、しかし、へんな先入観や期待を抜きにすれば、実はかなりキュートでステキな映画に仕上がっている。
そう、オレはとても面白かった。少なくとも監督中野と聞いた時点でどんな雰囲気の作品になるのかは想像がついたし(実際そのとおりだった)、それに過去のイメージを再確認するだけの映画なんてつまらないっしょ。
で、これ。短いカットを積み重ねていくスピード感。シャープな映像感覚。カッコイイようでカッコ悪いのが、ひっくり返ってやっぱりカッコイイひねくれさ加減。笑わそうとしているのかしていないのかわかりづらい微妙なオフビート感覚。いいじゃない。ちょっと鼻白むところもご愛敬でしょう。
なによりイカスのは“ラブ&ピース”な感覚である。人を殺さないという即物的ことではなく、もっと思想的な部分での印象が、だ。声高に訴えるのではなく、いつの間にか、ああ、そうだよなぁと思える自然で無意識的なところがいいっす。
あくまでも好みの範疇に入ってしまうので、誰にでも面白いとはけしていわない。でもオレは好きです。